2012年11月17日土曜日

恒例の第九コンサート・注目のコンサート(東京編)



 年末恒例の第九シーズン到来!

早いもので、気がついたら今年ももうあと1ヶ月半ほど…。時のたつ早さに改めて驚いたり、慌てたりする昨今ですが皆様はいかがでしょうか? この頃になると年末恒例のベートーヴェン第九コンサートが何故か気になってきますね!?
 
とりあえず今シーズン東京で開催される聴いてみたい第九コンサートや気になるコンサートを思いつくままにとりあげてみました。(サントリーホール、NHKホール、東京文化会館のみになってしまいました。悪しからず…)指揮者はロジャー・ノリントン、大植英次、小林研一郎と実力者揃いで非常に楽しみです!

また大晦日の恒例となったベートーヴェン交響曲の全曲演奏会はスポーツで言うならばフルマラソンに挑戦するようなエネルギーが必要かと思ったりもします……。とにかく1日でベートーヴェンの全曲を演奏するということは並々ならぬ情熱とパワーがなければ不可能でしょう。今年も小林研一郎さんが指揮を担当されるということで、熱いライブになることは間違いなさそうです!

東京・渋谷 NHKホール



【サントリーホール】

12月18日(火)

TOKYOイギン<歓喜・笑顔>第九コンサート
曲目 ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125 「合唱付き」
指揮 大植英次
演奏 東京フィルハーモニー交響楽団
開演 19:00
料金 S9,000 A7,500 B6,000 (9月3日発売)
問合せ イギン広報室 03-5495-1911 


12月19日(水)

読響第555回名曲シリーズ
曲目 ベートーヴェン: 交響曲第9番 ニ短調 op.125 「合唱付き」 
指揮 シルヴァン・カンブルラン
出演 木下美穂子(S)、林美智子(M-s)、高橋淳(T)、与那城敬(Br)
合唱 新国立劇場合唱団
開演 19:00
料金 S9,000 A7,000 B5,000 C4,000
問合せ 読響チケットセンター 03-3562-1550


12月20日(木)

日本フィルハーモニー交響楽団「第九」特別演奏会
曲目 J.S.バッハ: 主よ、人の望みの喜びよ 
     J.S.バッハ: トッカータとフーガ ニ短調 
     ベートーヴェン: 交響曲第9番 ニ短調 op.125 「合唱付き」 
指揮 小林研一郎
出演 長井浩美(Org.)、菅英三子(S)、金子美香(A)、錦織健(T)、青戸知(Br)
合唱 東京音楽大学
開演 19:00
料金 S8,500 A7,500 B6,500 C5,500 Ys3,500 Gs4,500
問合せ 日本フィル・サービスセンター 03-5378-5911


12月21日(金)

読響 第九 特別演奏会
曲目 ベートーヴェン: 交響曲第9番 ニ短調 op.125 「合唱付き」 
指揮 シルヴァン・カンブルラン
出演 木下美穂子(S)、林美智子(M-s)、高橋淳(T)、与那城敬(Br)
合唱 新国立劇場合唱団
開演 19:00
料金 S9,000 A7,000 B5,000 C4,000
問合せ 読響チケットセンター 03-3562-1550


12月22日(土)

LG Electronics Japan クラシック・スペシャル
日本フィルハーモニー交響楽団「第九」特別演奏会
 
曲目 J.S.バッハ: 主よ、人の望みの喜びよ 
      J.S.バッハ: トッカータとフーガ ニ短調 
     ベートーヴェン: 交響曲第9番 ニ短調 op.125 「合唱付き」 
指揮 小林研一郎
出演 長井浩美(Org.)、菅英三子(S)、金子美香(A)、錦織健(T)、青戸知(Br)
合唱 東京音楽大学
開演 14:00
料金 S8,500 A7,500 B6,500 C5,500 Ys3,500 Gs4,500
問合せ 日本フィル・サービスセンター 03-5378-5911

東京フィルハーモニー交響楽団 ベートーヴェン『第九』特別演奏会
曲目 モーツァルト:オッフェルトリウム「主の御憐れみを」 K. 222
     ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125 「合唱付き」
指揮 大植英次
出演 アンナ・ガブラー(S)、スザンネ・シェファー(A)、ヨセフ・カン(T)、
      アンドレアス・バウアー(Br)
合唱 東京オペラ・シンガーズ
開演 19:00
料金 S9,000 A7,500 B6,000 C4,500 D3,000
問合せ 東京フィル・チケットサービス 03-5353-9522


12月23日(日・祝)

サントリーホール クリスマス オルガンコンサート
曲目 14世紀のクリスマス・キャロル:天使がひそかに
     メシアン:羊飼いたち~『主の降誕』から
     リュリ/ダングルベール編曲:シャコンヌ(オペラ『アシスとガラテア』から)
     デュプレ:古いノエルによる変奏曲 op. 20、他
出演 高橋博子(Org)、市瀬陽子Scenes et Salons(バロック・ダンス)、他
合唱 東京少年少女合唱隊
開演 16:00
料金 S5,000 A4,500 B3,500
問合せ サントリーホール 0570-55-0017
 

12月24日(月・休)

サントリーホール クリスマスコンサート 2012
バッハ・コレギウム・ジャパン 聖夜の「メサイア」
曲目 ヘンデル: オラトリオ『メサイア』HWV56 
指揮 鈴木雅明
出演 ヨハネッテ・ゾマー、藤崎美苗(S)、クリント・ファン・デア・リンデ(Ct)、
   櫻田亮、谷口洋介(T)、ロデリック・ウィリアムズ(Bs)
開演 15:00
料金 S9,000 A7,500 B6,000 P3,500 学生1,000
問合せ サントリーホール 0570-55-0017


12月25日(火)

<スターツ ハートフルコンサート>
新日本フィルハーモニー交響楽団「第九」特別演奏会
曲目 レーガー: 7つの宗教的民謡から「おおいとしきみどり児、やさしきイエス」 
   ベートーヴェン: 『エグモント』序曲 op.84 
   ベートーヴェン: 交響曲第9番 ニ短調 op.125 「合唱付き」 
指揮 リュウ・シャオチャ
出演 天羽明惠(S)、加納悦子(M-s)、永田峰雄(T)、キュウ・ウォン・ハン(Br)
合唱 栗友会合唱団
開演 19:15
料金 S8,000 A7,000 B5,500 C4,000


12月26日(水)

都響スペシャル「第九」
曲目 ベートーヴェン: 序曲『レオノーレ』第3番 : 交響曲第9番 ニ短調 op.125 「合唱付き」 
指揮 カール=ハインツ・シュテフェンス
出演 澤畑恵美(S)、竹本節子(M-s)、福井敬(T)、福島明也(Br)
合唱 二期会合唱団
開演 19:00
料金 S8,000 A7,000 B6,000 C5,000 P2,200
問合せ 都響ガイド 03-3822-0727


12月27日(木)

N響「第九」Special Concert
曲目 ギルマン: ヘンデルの主題によるパラフレーズ 
     J.S.バッハ(デュリュフレ編曲): コラール『主よ、人の望みの喜びよ』 
     ヴィエルヌ: ウェストミンスターの鐘 
     ベートーヴェン: 交響曲第9番 ニ短調 op.125 「合唱付き」 
指揮 ロジャー・ノリントン
出演 クラウディア・バラインスキ(S)、ウルリケ・ヘルツェル(A)、トーマス・モア(T)、
   ロバート・ボーク(Br)、勝山雅世(Org)
合唱 国立音楽大学
開演 19:00
料金 S16,000 A13,000 B10,000 C7,000 ユースチケットC(25歳以下)6,000
問合せ N響ガイド 03-3465-1780


12月28日(金)

東京交響楽団特別演奏会 第九と四季
曲目 ヴィヴァルディ: 協奏曲集「四季」から「春」「冬」 
     ベートーヴェン: 交響曲第9番 ニ短調 op.125 「合唱付き」 
指揮 秋山和慶
出演 小林美樹(Vn)、文屋小百合(S)、清水華澄(M-s)、カルステン・ズュース(T)、
   アッティラ・ユン(Bs)
合唱 東響コーラス
開演 14:00
料金 SS15,000 S10,000 A8,000 B6,000 C4,000 SS(ペア)25,000
問合せ Tokyo Symphony チケットセンター 044-520-1511



【NHKホール】

ベートーヴェン「第9」演奏会
2012年12月22日(土)  
曲目 ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125 「合唱付き」
指揮 ロジャー・ノリントン
出演 クラウディア・バラインスキ(S)、ウルリケ・ヘルツェル(A)、トーマス・モア(T)、
ロバート・ボーク(Br)
合唱 国立音楽大学
開演 18:00 

チケット購入 チケットぴあ ローソン


ベートーヴェン「第9」演奏会
2012年12月23日(日・祝)  
曲目 ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125 「合唱付き」
指揮 ロジャー・ノリントン
出演 クラウディア・バラインスキ(S)、ウルリケ・ヘルツェル(A)、トーマス・モア(T)、
ロバート・ボーク(Br)
合唱 国立音楽大学
開演 15:00

チケット購入 チケットぴあ ローソン


ベートーヴェン「第9」演奏会
2012年12月25日(火)  
曲目 ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125 「合唱付き」
指揮 ロジャー・ノリントン
出演 クラウディア・バラインスキ(S)、ウルリケ・ヘルツェル(A)、トーマス・モア(T)、
ロバート・ボーク(Br)
合唱 国立音楽大学
開演 19:00

チケット購入 チケットぴあ ローソン


ベートーヴェン「第9」演奏会
2012年12月26日(水) 7:00pm
曲目 ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125 「合唱付き」
指揮 ロジャー・ノリントン
出演 クラウディア・バラインスキ(S)、ウルリケ・ヘルツェル(A)、トーマス・モア(T)、
ロバート・ボーク(Br)
合唱 国立音楽大学
開演 19:00

チケット購入 チケットぴあ ローソン



【東京文化会館】



ベートーヴェンは凄い!全交響曲連続演奏会2012
日時 12月31日(月) 13:00開演(12:30開場/23:45終演予定)
曲目
ベートーヴェン:
 交響曲第1番(13:00~)
 交響曲第2番(13:35~)

  休憩(30分)

 交響曲第3番(14:45~)
  お話(15分)
 交響曲第4番(16:00~)
  お話(30分、16:35~)

  休憩(30分)

 交響曲第5番(17:35~)
 交響曲第6番(18:15~)

  大休憩(90分、19:00~)

 交響曲第7番(20:30~)
 交響曲第8番(21:15~)
  お話(30分、21:45~)

  休憩(15分)

 交響曲第9番(22:30~)

※各交響曲の開始時刻は、上記より早まることはございません。
上記スケジュールは予告なく変更される場合がございます。予めご了承の程、お願い申し上げます。

指揮 小林研一郎
演奏 岩城宏之メモリアル・オーケストラ(コンサートマスター:篠崎史紀)
料金 S:20,000 A:15,000 B:10,000 C:5,000 D:2,000(7月14日発売)
チケット 東京文化会館チケットサービス 東京芸術劇場チケットサービス
お問合せ メイ・コーポレーション 03-3584-1951.



2012年11月8日木曜日

バッハ  ブランデンブルク協奏曲第6番 変ロ長調






 ブランデンブルク協奏曲はバッハの管弦楽曲の中では最も人気が高く、演奏頻度の高い作品です。しかし、その中で今回とりあげる第6番は唯一演奏頻度が少ない作品ではないでしょうか。

 演奏頻度が少ない理由としては圧倒的に地味で演奏効果があがりにくいというのが通説になっているようです。でもよく耳を澄まして聴いてみてください。この曲ではヴィオラやチェロ等が終始活躍し、モノトーンを基調にした何とも穏やかで温もりのある響きが生み出されているではありませんか! 確かに全体のトーンは渋くて華やかさこそありませんが、これこそ低弦楽器の音色に精通したバッハならではの深い味わいと言っていいでしょう!
 この作品は「ブランデンブルク協奏曲の中で一番聴き疲れしない」とおっしゃる方も意外と多いのです。

 おそらく、弦楽四重奏やチェロソナタあたりが好きな人であれば、一度で好きになってしまう曲なのでしょう。6番は美しいメロディも随所にありますが、メロディの美しさよりは響きの美しさや奥深さが印象的な曲なのです。
 それだけにヴィオラが奏でる可憐な主題はストレートに心の歌となって響き、深い癒しを与えてくれるのです。ヴァイオリンには出せない艶やかでまろやかな音の拡がりが何ともエレガントですね!

 この曲は演奏効果というよりも、しっとりとした情緒を味わう曲なので最近の古楽団体の演奏より往年の名盤がやはり優れています。特にパウムガルトナーとルツェルン弦楽合奏団(DENON)の演奏はじっくりと音楽に浸り、隅々まで曲の良さを堪能できるでしょう。パウムガルトナーにはそれより古いアルヒーフ盤(1962年録音)がありますが、そちらの演奏も素晴らしく甲乙つけがたい名演です。
 一言付け加えておくならば、パウムガルトナーの新旧両盤は全集としても大変優れていて、どの曲も水準の高い演奏で魅了されます!











2012年11月2日金曜日

野生のエルザ






 ずいぶん前のことになりますが、かつてテレビで大自然や動物の生態を描いた「野生の王国」や「驚異の世界」等のドキュメンタリー番組がたくさん放映されていました。これらの番組はどれも面白くて、毎回胸をワクワクしながらテレビに釘付けになって見ていたのを思い出します!考えてみればあの時代は今ほど簡単に情報を手に入れることなどできなかったし、ましてや遠い異境の地の映像を見るなど簡単ではなかったのでした……。
 それだけに毎回放映される自然の出で立ちはとても新鮮かつ驚きの連続で、「人間の常識を超えた世界が確実にあるんだな」ということをひしひしと感じたりもしたのです!

 野生のエルザ(1966年制作)はちょうどそのような動物の生態系に関心が注がれる時代に封切りされた作品でした。この映画はジョイ・アダムソンの自伝「Born Free」に基づく人間とライオンの心の交流を描いた作品で、リアリティあふれる映像は深い感動を呼び起こします。動物と人間の交流を描いた映画はたくさんありますが、「野生のエルザ」は今もって最高の感動作と言ってもいいでしょう。

 この映画の成功は全編ケニアロケを決行し、作り物ではない真実味にあふれた映像を獲得できたことが大きいのではないかと思います。特に子ライオンのエルザを育てたあげく、「自然の中で生まれたものは自然に帰すのが一番」と決心するところは大きな苦悩を伴い胸をうちます。その後、何度も挫折しながら野生に帰す試みをするアダムソン夫妻の姿はまるで実の子どもを一人立ちさせる親の姿のようです。エルザを野性に戻すことが成功し、数年後にアフリカを訪れた二人は感動の再会を果たすのでした……。

 この映画で何よりも印象に残るのは主演のビル・トラヴァースとヴァージニア・マッケナの自然な演技でしょう。二人はライオンを抱っこしたり撫でたりするのですが、どのシーンもスタントマン無しでやりきっており、その役者魂には感服いたします!
 彼らは実生活においても夫婦で、この映画を機に野生動物保護運動を精力的に始めたというのですから、役作りやアダムソン夫妻の生き方への共感の度合いも並大抵ではなかったということなのでしょう。

 ジョンバリーの音楽も壮大かつ余情の伝わってくる音楽で画面を暖かく満たします。この映画にこそふさわしい最高のスタンダードナンバーと言えるでしょう。


2012年10月29日月曜日

巨匠たちの英国水彩画展



英国水彩画の魅力を探る「巨匠たちの英国水彩画展」






 水彩画は親しみやすく描きやすい絵の道具であることは誰もがご承知のことと思います。油彩の下書きとして描かれたり、建築や室内インテリアの完成予想図として描かれることも多いですよね!
 しかし実際に描いてみると水彩は結構難しい材料なんですよね。特に透明水彩で描くとそれは顕著に現れます。にじみやかすれ、おもしろい表現を狙ったりと水彩独自の効果が出やすいのですが、失敗するととても見られない(!?)状況になってしまいます。(^_^;

 とにかく油彩のように塗り直しが一切効かないし、一発勝負の感じが強いため確かなデッサン力が要求される場合が多いのです。
 でも水彩画の心安らぐ、あの手触り感の強いタッチや優しいイメージはやっぱり捨てがたいですね……。
 前置きが長くなってしまいましたが、現在東京・渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで「巨匠たちの英国水彩画展」が開催されています。誰もがよく知っているターナー、ウィリアム・ブレイク、ロセッティ等の水彩画が一堂に集った展覧会で、その内容は改めて水彩画の素晴らしさと可能性を示してくれるものになっています。
 かつては「国民的美術」と言われた英国の水彩画。英国の自然のように繊細でありながら独創的なスタイルを模索した輝かしい水彩画の数々が目白押しです!
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 英国マンチェスター大学ウィットワース美術館は、近代美術を中心とした作品を所蔵していますが、中でも4,500点以上の英国の水彩画と素描のコレクションは世界的に有名で、高い評価を得ています。
本展では、ターナーをはじめとする英国水彩画を代表する多くの画家たちの作品を展覧します。
さらにラファエル前派の画家であるロセッティ、ミレイ、ハントやバーン=ジョーンズら日本でもよく知られる人気の画家たちにも焦点をあてます。18世紀から19世紀の英国の巨匠たちの水彩画を中心とした約150点の作品により、繊細かつ緻密な彩色がほどこされた気品と優しさあふれる英国水彩画の全盛期をご紹介します。(公式サイトより)

【巨匠たちの英国水彩画展概要】
会場     Bunkamuraザ・ミュージアム 
       東京都渋谷区道玄坂2-24-1
会期     2012年10月20日(土)~12月9日(日)
入場料    一般=1,400(1,200)円
       高大生=1,000(800)円
       小中生=700(500)円
       *( )内は前売/20人以上の団体料金
       *障害者手帳をお持ちの方は割引制度有り
休館日    会期中無休
開館時間   10:00~19:00(金・土曜日は21まで開館)
       *入館は閉館の30分前まで
問い合わせ先 tel. 03-3477-9413
主催     Bunkamura、マンチェスター大学ウィットワース美術館、
       朝日新聞社



2012年10月26日金曜日

モーツァルト ピアノソナタ第8番イ短調K.310









 モーツァルトはピアノをとても愛していました(ピアノというよりもフォルテピアノというほうが正しいのかも…)。 そして彼とピアノの関係は切っても切り離せない重要な作曲の源泉だったということはほとんどの方がご存知ではないかと思います。中でもピアノソナタk310は短調の曲ではありますが、昔から日本ではとても人気がありました。

 この作品はモーツァルトのピアノソナタの中でも特別な位置にある作品といっていいでしょう。それは人を喜ばせたり楽しませるよりは自分の心に忠実に、そして心の張り裂けるような想いを素直に音楽に託したといっていいかもしれません。

 有名な交響曲第40番や交響曲第25番のイメージをそのままピアノソナタに置き換えたような雰囲気があります。しかし、ピアノソナタという性格上、管弦楽曲や交響曲よりもっと自由な表現が可能で、デリカシーに満ちた表情が出やすいジャンルであることも間違いありません。それがはっきりと確認できるのが第3楽章プレストでしょう。

 とにかくこの第3楽章はいつ聴いても凄いですね! モーツァルトの数多くのソナタの中にあってもとりわけ豊かさにあふれ至高の輝きを放つ傑作と言えるでしょう。一音符ごとに様々な想いや感情が込められており、繊細で透明感に満ちた旋律が心を揺さぶります。
 涙に濡れながら駆け抜けていくテーマではありますが、メロディはたおやかな表情を保ちながら忘れ難いニュアンスを残していきます。そして中間部での天国的な優しさ……。それは永遠の母性とも言えるような安らぎが顔を覗かせる瞬間でもあるのです! 

 第2楽章アンダンテ・カンタービレも凄い音楽です。そして恐ろしい音楽でもあります。多くのピアニストの方々にとってもその感情表現はかなり苦心されることでしょう。とにかく音楽が純粋無垢であるがために却って感情表現が難しいのです。
 出だしは穏やかで平静を装っているように見えるのですが、既にとめどもなくあふれる涙をどうすることもできないモーツァルトの姿が瞼に浮かんでくるのです。吐息や諦観が絡み合いながらしみじみとした味わいを醸し出していくあたりは筆舌に尽くせません!中間部の激しい慟哭の中で、心がどうにかなってしまうのでは……という寸前でまた現実に引き戻されます。

 もちろん第1楽章も有名な悲劇的なテーマをはじめとして充実し変化に富んだエピソードが無垢な魂の中で次々に展開されます。この作品からもわかりますが、モーツァルトの偉大なところはドラマティックな曲といえども決して感情に溺れることなく、高い次元で結晶化された響きや澄み切った表情を生み出しているところでしょう。

 K310は演奏が難しく、CDの名演奏は現在のところかなり限られているように思います。その中ではディヌ・リパッティの最後の録音リリー・クラウスのCBS盤が双璧でしょう。
 リパッティの演奏は1950年ブザンソン音楽祭でのライブ録音で彼の最後の録音です。もちろんモノーラルで決して良好な録音状態ではありませんが、本質をしっかり捉えた演奏は今でも深い感動を与えてくれます。何よりも飾らず外連味のない清廉な語り口がモーツァルトにはぴったりです。

 クラウスの演奏はリパッティに比べると演奏の振り幅が大きく、この曲にモーツァルトが託した思いがどのようなものであったかが伝わってくるような演奏です。特に第2楽章、第3楽章の深い感情移入と引き締まった表現は他のピアニストからはなかなか聴けません。クラウスは1956年のEMI盤(モノーラル)もありますが、そちらも即興的で深い表情が印象的な素晴らしい名演奏です。


2012年10月10日水曜日

メトロポリタン美術館展 大地、海、空―4000年の美への旅



メトロポリタン美術館展 大地、海、空―4000年の美への旅



 この展覧会は普通の展覧会とは少々趣が違います。それは一般的に絵画が展示物のメインの場合が多いのですが、この展覧会は工芸品や写真等の数がかなり多く、むしろ博物館的な面白さやカテゴリーの広さを持った展示会になっているのです。
 もちろん純粋に絵画を見る面白さにも事欠きません。たとえば、レンブラントの「フローラ」やゴッホの「糸杉」、セザンヌの「レスタックからマルセイユ湾を望む」等、その時代に重要な足跡を残した作品が展示されているのです。
 自然の姿に人間はどのようにインスピレーションを受け、作品として表現し結実させてきたのかをメトロポリタン美術館の膨大なコレクションの中から光をあてる、ちょっとユニークな展覧会です。




フィンセント・ファン・ゴッホ「糸杉」1889、油彩


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 東京都美術館は、2012(平成24)年にリニューアルオープンを迎え、メトロポリタン美術館(通称:メット)所蔵の珠玉の作品の数々による特別展を、同年秋より開催いたします。テーマは「西洋の美術において、風景(大地、海、空)や動植物が、どのように捉えられてきたか」というもの。メットの17の学芸部門のうち12の部門を横断して構成される本展では、紀元前2千年の古代メソポタミア文明の石彫から、中世ヨーロッパの工芸品、イスラムの写本、銀器やガラス製品、テキスタイル、西洋美術を代表する巨匠たち、レンブラントやターナー、ゴッホらの油彩画、そして19世紀から現代までの写真作品の数々によって、自然をモチーフとした表現の変遷を振り返ります。
 万物の源であり、神秘的な計り知れぬ力をもつ世界に向けて、人間はどのような眼差しを注ぎ、輝かしい創造へと導かれる霊感を得てきたのか──。本展の主題は、メットを訪れる世界中の人々を魅了してやまない、まさに「人類の美の遺産」のエッセンスといえるものです。[美術館サイトより]



会場                東京都美術館 
                       東京都台東区上野公園8-36
会期               2012年10月6日(土)~2013年1月4日(金)
入場料           一般=1,600(1,300)円
                      学生=1,300(1,100)円
                      高校生=800(600)円
                       65歳以上=1,000(900)円
                       *( )内は20人以上の団体料金
                       *中学生以下は無料
                      *障害者とその介護者1名は無料(要障害者手帳)
休館日           月曜日(ただし、10/8、12/24は開室)、
                      年始年末休館(12月31日 1月1日)
開館時間       9:30~17:30(金曜日は20時まで開館)
                      *入館は閉館の30分前まで
問い合わせ    tel. 03-3823-6921
主催              東京都美術館、メトロポリタン美術館、読売新聞社
公式サイト    http://met2012.jp/





2012年10月5日金曜日

ヘンデル 合奏協奏曲集作品6-3(9番-12番)




【合奏協奏曲 第9番 ヘ長調 HWV.327】
 合奏協奏曲作品6の中で最もメリハリがあり、壮麗で典雅なメッセージ性に富むヘンデルらしい魅力に満ちた作品と言っていいでしょう!。第2楽章の舞曲風のリズムをテーマにした陽気でエネルギッシュなアレグロは生き生きとしたドラマを展開していきます。驚くのは長調から短調への転調の自然さとシンプルなテーマから音楽が発展し、輝きを増してくるところでしょうか…。
 最も美しいのはあふれるような悲しみを音楽に託した第3楽章ラルゲットでしょう。このラルゲットはもはや悲しみという範疇を突き抜けた至高の音楽だと思います。これほど深い哀しみを描いた曲なのに不思議と心慰められるのは何故なのでしょうか? おそらく人の心の普遍的な感性に通じるものがあるからなのでしょう……。
 第4楽章の壮麗なフーガも見事ですし、第5楽章の神秘的な和音や第6楽章の広々としたジーグの魅力もなかなかのものです。

Karl Richter

(演奏)この曲はリヒター指揮ミュンヘンバッハ管弦楽団の独壇場です。第2楽章アレグロのメリハリの効いた自在な表情!ラルゲットの曲にひたすら没入する深い哀しみの表現。毅然として格調高いフーガ!晴朗でいて味わいが深い終曲ジーグ等々……。リヒターの表現はこの曲の魅力を最大限に描き出してやみません! 合奏協奏曲作品6の演奏にしては少々重たすぎるのではという懸念はこの曲に関する限りまったくあてはまりません。むしろ、ここまで曲の意味を抉り出し、透徹した響きを生み出したリヒターに拍手を送りたいくらいです。まさに第9番の唯一無二の演奏と言っていいのではないでしょうか。


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【合奏協奏曲 第10番 ニ短調 HWV.328】
 非常に充実した作品です。全体は強靭な精神性と音の塊の中に次々と意味深い主題やメロディが現れます。息もつけぬほど密度の濃い響きの連続に心が大きく揺さぶられますね。孤高で厳しい表情は深まる秋の憂愁や冬の冷たい空気を伝えるかのようです。しかし、曲の内面では絶えず熱い炎が燃え上がっているのです!
 傑作なのはフィナーレのアレグロ・モデラートでしょう。それまでの緊迫した雰囲気とは180度違う(!?)と言ってもいいほどの無垢で明るい主題なのです。正直言ってこのあまりの違いに困惑してしまう方は多いのではないでしょうか? しかしこのような形で曲を終わらせたかったヘンデルの意図は意外と深いものなのかもしれません……。

August Wenzinger(Board Highlights LP)


(演奏)ヴェンツィンガー指揮バーゼルスコラカントルームの演奏は完璧です。どこにもデフォルメしたり、無理に力を加えたような雰囲気がないのに、あふれる音楽性、深い意味、自然な呼吸。その芸術性の高さにすっかり魅了されてしまいます。どこをとってもこの曲で考え得る限りの最高の味わいを堪能させてくれる演奏と言っていいでしょう。


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【合奏協奏曲 第11番 イ長調 HWV.329】
 まず、愛嬌を振りまくように親しく語りかけるテーマの第1楽章が印象に残りますね…。しかし展開部ではソロヴァイオリンと合奏の緩急の変化が曲を多彩に発展させ盛り上げていきます。

 第3楽章ラルゲットの小鳥のさえずりを聴き、雲の流れを見つめるような叙情的で美しいメロディ……。そしてフィナーレのアレグロの澄みきった青空を無限に飛翔するような自由なメロディと快適なテンポが最高です!





Orpheus Chamber Orchestra
August Wenzinger(Board Highlights LP)

(演奏)現状ではオルフェウス室内管弦楽団かヴェンツィンガー指揮バーゼルスコラカントルームあたりがベストかと思います。この曲は第4楽章のラルゲットとフィナーレのアレグロが曲の印象を大きく左右します。その点で前記2盤は他を大きく引き離しているのです。

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【合奏協奏曲 第12番 ロ短調 HWV.330】
 この作品は全12曲の中では比較的に馴染みが薄く、特徴が弱いと感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、この作品独自の魅力は充分に備わっています! 第1楽章のプレリュードは魂の孤独を切々と訴える深遠な音楽です。そして第2楽章アレグロはヴィヴァルディの協奏曲のメロディによく似ていますが、中間部での目眩く展開される心の嵐が凄く、激しい慟哭さえ感じさせます。
 第3楽章のラルゴは諦観さえ伝わってきます。一切の飾り気を排したしみじみとした心の音楽は見事というしかないでしょう……。中間部のソロヴァイオリンの美しさも心にしみます。


Orpheus Chamber Orchestra


(演奏)オルフェウス室内管弦楽団の研ぎ澄まされたアンサンブルが最高に力を発揮した作品です。とにかく弦のしなやかさ、音楽性の高さ、無駄のない造型に唸ってしまいます。素晴らしい録音がそれに輪をかけます!