西洋絵画史上、最も強烈な印象や足跡を残した人としてゴッホの名前を挙げる人は多いかもしれません。しかもその偉大な足跡は晩年の2年間の作品群を除いては決して語ることができないのです。その2年はゴッホ自らがユートピアと謳ったアルル滞在時代でした。
この時代にゴッホは彼の代表作と言われるほとんどの作品を描いたのです。アルル時代はゴッホにとってすべてが新鮮で創作のエネルギーが湧き上がる最も充実した時代だったのでしょう。
ここで紹介する「ラ・クローの収穫」もアルル時代の最大の功績のひとつです。まず驚かされるのはその色彩です。黄金色に輝きを放つ田園風景は生命力に溢れ、豊かな実りをもたらす自然のエネルギーを強く印象づけるのです!
画面を構成する田園風景と山並みは一切曖昧なところがなく、気持ちがいいほど明快にくっきりと描かれています。その事によって絵は驚くほどのシンプルさと様式化された形の強靭さを獲得しているのです。
そして、様々なタッチや色彩のコントラストから生まれる絵としての根本的な強さや存在感、豊富な情報量がこの絵を一段と魅力あるものにしているのです。
農村を愛し、南フランスの風景を愛したゴッホの息づかいが直接聴こえてくるような名画ではないでしょうか!