2017年12月6日水曜日

ドラクロワ 『ウジェーヌ・ドラクロワの肖像』










ピカイチの肖像画



以前このブログで書いたことがありますが、『フレデリック・ショパンの肖像』を見てもわかるように、この人が描く肖像画は秀逸です。
いや、秀逸という以上にピカイチと言ってもいいでしょう。 何より一度見たら脳裏に深く刻まれるような圧倒的な存在感は凄いの一言です。

この自画像は鋭い眼力と生気に溢れた表情が人としての強烈なバイタリティを醸し出しているようです。 確かにこれは容貌を含めて、ドラクロワ自身の理想の姿を映し出しているのかもしれません。しかし、絵に描かれた表情が偽らざる姿、内面の現れであるとするならば、ドラクロワは相当に自信家で、高い理想を持ち、激しい気性の持ち主だったのであろうということが見てとれます。

もしかしたら、当時の画家が描く自画像というものは、現在のSNSやブログで用いるプロフィール写真のように、自分自身をアピールする手段として使われていたのかもしれませんね……。そう考えると、ドラクロワの肖像画は多方面でドラクロワ自身に成り代わり、人を惹きつけ、信用させる等、絶大な効果を発揮したのではないでしょうか…。

とにかく、今にも話しかけてきそうな生き生きとした雄弁な表情には目を見張ります! それを支える卓越した描写力。スピード感のあるタッチ。動きや奥行きを感じさせる空間処理がますますこの絵の価値を高いものにしているのです。