2012年11月8日木曜日

バッハ  ブランデンブルク協奏曲第6番 変ロ長調






 ブランデンブルク協奏曲はバッハの管弦楽曲の中では最も人気が高く、演奏頻度の高い作品です。しかし、その中で今回とりあげる第6番は唯一演奏頻度が少ない作品ではないでしょうか。

 演奏頻度が少ない理由としては圧倒的に地味で演奏効果があがりにくいというのが通説になっているようです。でもよく耳を澄まして聴いてみてください。この曲ではヴィオラやチェロ等が終始活躍し、モノトーンを基調にした何とも穏やかで温もりのある響きが生み出されているではありませんか! 確かに全体のトーンは渋くて華やかさこそありませんが、これこそ低弦楽器の音色に精通したバッハならではの深い味わいと言っていいでしょう!
 この作品は「ブランデンブルク協奏曲の中で一番聴き疲れしない」とおっしゃる方も意外と多いのです。

 おそらく、弦楽四重奏やチェロソナタあたりが好きな人であれば、一度で好きになってしまう曲なのでしょう。6番は美しいメロディも随所にありますが、メロディの美しさよりは響きの美しさや奥深さが印象的な曲なのです。
 それだけにヴィオラが奏でる可憐な主題はストレートに心の歌となって響き、深い癒しを与えてくれるのです。ヴァイオリンには出せない艶やかでまろやかな音の拡がりが何ともエレガントですね!

 この曲は演奏効果というよりも、しっとりとした情緒を味わう曲なので最近の古楽団体の演奏より往年の名盤がやはり優れています。特にパウムガルトナーとルツェルン弦楽合奏団(DENON)の演奏はじっくりと音楽に浸り、隅々まで曲の良さを堪能できるでしょう。パウムガルトナーにはそれより古いアルヒーフ盤(1962年録音)がありますが、そちらの演奏も素晴らしく甲乙つけがたい名演です。
 一言付け加えておくならば、パウムガルトナーの新旧両盤は全集としても大変優れていて、どの曲も水準の高い演奏で魅了されます!