2011年8月27日土曜日

映像・音楽視聴の無料サービス



あの名曲を聴きたい!懐かしい番組を見たい!
 最近はyoutube等の動画配信サイトや音楽のダウンロードサービスの充実によって、あっという間に知りたい情報を手に入れたり、視聴して楽しむことができるようになりました。しかし、そうはいうものの本格的に聴きたい曲を鑑賞したい場合は、もの足りない場合も少なくありません。全曲フルに聴いたり、できるだけ良い画質にこだわって映像を楽しむことはそうそうできません。
 そこで、今回は気軽に落ち着いて見たい番組や聴きたい名曲をじっくりと鑑賞できる都内にある映像、音楽のスポットをご紹介したいと思います。
【東京文化会館・音楽資料室】


東京文化会館
ここは上野のクラシック音楽の殿堂、東京文化会館の3階にある音楽資料室です。CD約3万枚、LP4万枚、LD、DVD3500枚と圧倒的な保有枚数を誇り、クラシック音楽を専門とする視聴覚室としては群を抜く多さです。たとえばCDを購入したいんだけれど、買いたい曲がはたして気に入るかどうかわからないという方はここで試聴するのもひとつの方法だと思います。
 また今度オペラを見にいくのだが、あらかじめ全体の雰囲気をつかみたいと思われる方にも当然有意義でしょう。もちろん豊富なライブラリーなので演奏家にこだわったり、レーベルにこだわって聴くことも可能だと思います!
 ただ現在は節電のため8月および9月の中旬くらいまでは開室日と開室時間はかなり少なめになっています。お出かけの際はくれぐれもHPをよくご確認の上、「出かけたがお休みだった……」ということがないようにご注意されますようお願いしたいと思います。
東京文化会館音楽資料室・休室日 http://www.t-bunka.jp/library/close.html
東京文化会館音楽資料室 http://www.t-bunka.jp/library/index.html 東京文化会館音楽資料室 03-3828-2111(代表) レファレンスサービス受付 9:00~17:00(火曜日~土曜日) 休館日/毎週月曜日・その他 不定休あり(HP要確認) ●著作権法及び当室の基準の範囲内で所蔵資料のコピーができます。 ●料金:A3、B4、A4、B5 1枚30円 ●視聴覚資料の複製はできません。
 
【放送ライブラリー
横浜情報文化センター内にある放送ライブラリー
 放送ライブラリーは、日本唯一の放送番組専門のアーカイブ施設です。NHK、民放各局のテレビ・ラジオ番組、コマーシャルを公開しており、見たい番組を検索して見ることができます。当然、youtubeや動画サイト等では見ることができない映像が多く、あらかじめ目的を絞って視聴すれば有意義な時間が過ごせるのではないでしょうか!その他、展示ホールには映像による体験型常設展示コーナーがあり、番組上映会やセミナーも開催されています。ご利用はすべて無料です。
 視聴ブースは1人用ブース30台、2人用ブース20台、3人用ブース10台、合計60台100席が設置されています。放送ライブラリーは開館時間が常時17:00までなので、まとまった時間がとれる時に訪れたいものです。
【懐かしの番組を個別の専用ブースで視聴できます】8F・視聴ホール
 ◯日本の社会問題や出来事に迫ったドキュメンタリー番組
 ◯歴史、伝統芸能・文化・芸術を紹介した教育教養番組
 ◯連続テレビ小説・大河ドラマ、民放の人気ドラマや時代劇
 ◯お茶の間の人気を独占した各時代のバラエティー・クイズ・音楽
 ◯名作コマーシャル、そして昭和30年代〜40年代の劇場用ニュース映画
  など、様々なジャンルの番組を公開しています。
【映像を中心とした常設展示コーナーと企画展示コーナー】9F・展示ホール
 ◯ニュースキャスターや野球中継のカメラのスイッチングなど放送局の仕事をバーチャル体験
 ◯放送史を映像で振り返る大型マルチスクリーンのミニシアター
その他、放送に関連したさまざまなイベントやセミナーも開催しています。 (放送ライブラリーHPより)
開館時間<2011.4.22現在>10:00〜17:00(視聴の申込みは16:30まで)
休館日 毎週月曜日(祝日・振替休日の場合は次の平日)、年末年始
アクセス みなとみらい線「日本大通り駅」3番情文センター口直結 放送ライブラリー  〒231-0021 神奈川県横浜市中区日本大通11横浜情報文化センター内 8階 TEL 045-222-2828  FAX 045-641-2110 放送ライブラリー http://www.bpcj.or.jp/
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2011年8月22日月曜日

ロベルト・シューマン オラトリオ「楽園とペリ」作品50






 シューマンは交響曲のような大作よりも、歌曲やピアノソナタのような小曲の作曲に光る才能を持った作曲家でした。ではすべてにおいて大作は苦手だったのかというと、決してそういうわけではありません。交響曲も堂々の4曲を作曲しておりますし、それぞれに魅力に富んだ傑作であることに間違いはありません。

 ただシューマンの場合、ベートーヴェンのように抽象的な楽想や主題に深い意味を持たせることは決して得意ではなかったようです。どちらかと言えば、感性的かつメロディライン重視の作曲法で、典型的なロマン派の作曲家だったのです。そういうこともあり、交響曲以外の大作はあまり耳にすることができません。

 しかし、ここで紹介するオラトリオ「楽園とペリ」はシューマンが作曲人生の全精力を注ぎ込んだといってもいいほどの不朽の傑作であり、力作です。シューマンはこの作品にかなりの自信を持っていたらしく、実際に初演もかなりの反響を呼び大成功だったようです。曲調はバッハやシュッツのオラトリオのように禁欲的な宗教的情緒をベースにしたものではなく、ヘンデルやハイドンのオラトリオのような人間感情を生き生きと表現しながら、ドラマティックに盛り上げていくスタイルにやや近い感じがします。

 内容は罪を犯し楽園を追放された妖精ペリが、さまざまな試練を乗り越えて再び楽園に戻る物語です。これは旧約聖書の創世記でアダムとエヴァが神に反逆し、楽園を追われるという内容がそっくりあてはまります。けれども「楽園とペリ」では追放された悲しみと失意で終わるのではなく、また慕わしい楽園に帰るという結末が待っているのです。これは神の愛の深さを表しており、また放蕩息子のたとえにも似た感動的な話です!

  作品は合唱や管弦楽のテクニック的な難しさや、全体を有機的なつながりを持って演奏することの難しさもあって、現在はそれほど演奏されません。日本においては、この作品自体あまり認知されてこなかったのではないでしょうか? 聴きどころは沢山ありますが、特に素晴らしいのは第1部です。「天の心を満たすその贈り物はどこで見つけよう?」と途方に暮れ、もがき苦しむシーンの密度の濃さは尋常ではありません。合唱と金管楽器がからみながら、緊張感を持続させつつ最高のバランスで曲を盛り上げるフーガは迫力満点です。また、この部分はほとばしるような情熱が渦巻き、次々と人物像や意思の力が雄弁に描かれていきます。

 全体は3部構成で約2時間弱の作品ですが、長くは感じられません!合唱やオラトリオ好きの人は、是非一度聴いてみられることをお勧めしたいと思います。決して難解な曲ではないし、合唱の持つ幅広い表現力を感じられるでしょうし、オラトリオの入門曲としてもその魅力を随所に発見できる格好の曲かもしれません。

 この作品には素晴らしいCDがあります。シノーポリ指揮シュターツカペレ・ドレスデンおよびドレスデン国立歌劇場合唱団による1993年の録音です。オーケストラのしなやかで潤いのある響き、曇りがなくクリアなサウンドはそれだけでもこの作品を充分に楽しませてくれます!合唱も気迫がみなぎり、素晴らしいハーモニーが最後まで途切れることがありません。また、フォークナー、マーフィーらソプラノを始めとする歌手の声量と表現力の完成度の高さに驚かされます!そして何よりもシノーポリの統率力の高さと表現力に舌を巻くことでしょう!

 このCDは現在タワーレコード・ヴィンテージコレクションブリリアントレーベルから2種類出ています。どちらもコストパフォーマンスに大変優れていますが、日本語訳を見たいのであれば、タワーレコード盤に限ります。




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