クロード・モネ 《バラの小道、ジヴェルニー》1920-22年 油彩、カンヴァス
クロード・モネ 《睡蓮》1907年 油彩、カンヴァス
やはり凄かった
モネ人気
今回のモネ展(2015年9月19日~12月13日、東京都美術館)はマルモッタン美術館所蔵の作品展ということで、『印象・日の出』をはじめとする作品の数々が大変に見応えがありました。
東京都美術館のロビーに着いて驚いたのは平日の午前中にもかかわらず、入場者がとても多かったことですね……。チケット売り場もかなりの列が出来ていて、購入するまで10分はかかったでしょうか。そして、入り口に入るとまた人が多いこと多いこと……。それぞれの絵の周囲には人だかりができていて、じっくり鑑賞するという雰囲気ではありません。
これが土日だったら、どんな感じになるのでしょうか。改めてモネ人気の高さを実感いたしました。
さて、肝心の絵のほうですが、無理してまんべんなく絵を見るよりは、自分が見たい絵だけをじっくり見ようという思考にいつのまにか意識転換されている自分を発見しました……。
この際、初期の作品や比較的アカデミックな作品は素通りさせていただいて、意欲作や睡蓮シリーズ、晩年の作品を集中的に鑑賞することにしたのです!
迫力と気力に圧倒される
晩年の作品の数々
でも、意外とこれが良かったのかもしれません。後半の睡蓮シリーズあたりからようやくスペースが確保できるようになり、落ち着いて絵を眺められるようになったのです。
私にとって、今回の展覧会の最大の収穫はモネが白内障に冒されてから描いたといわれる晩年の絵の数々です。これは本当に凄いですね!一様に厚く盛られた絵の具と何かを求めるようにアプローチされた色彩のタッチが強く訴えかけてきます。
もはや具象ならぬ抽象という感覚の絵ばかりなのですが、どんなに視力が衰え、形が思うようにとれなくなっても、画家の心の内に描きたいテーマや創作への強い意志がある限り、創作は可能なのだということを改めて教えられた気がします。気迫に溢れ、飽くなき挑戦に貫かれた絵の存在感は圧倒的で、これらの絵を見るだけでも展覧会に来たかいがありました。
またライフワークとも言われる『睡蓮』シリーズはやはり神秘的で素晴らしく、モネはこの睡蓮と水面や水面に移る光景に小宇宙のような何か特別なものを感じとっていたのかもしれませんね……。
代表作『印象・日の出』の東京都美術館での展示は10月中旬までとありますが、それを欠いたとしても充分に補ってあまりある見応えのある展覧会といえるでしょう。