2017年9月9日土曜日

モーツァルト 「エクスルターテ・ユビラーテ」




















無垢な喜びが躍動する
リリック・ソプラノのための傑作

エクスルターテ・ユビラーテは17歳の青年モーツァルトが作曲した無垢な喜びが躍動する、愛らしいリリック・ソプラノのための管弦楽作品です!

日本語タイトルとしては、「踊れ、喜べ、幸いなる魂よ!」で親しまれていますが、まさに喜びが弾けて、気持ちが晴れやかになる作品と言っていいでしょう。

曲は三部形式になっていて、モーツァルトらしい素直な感情の吐露が秀逸です。

私が注目したいのは、ともすれば地味な印象を受けやすい第二楽章アンダンテです。無類の優しさや憂いの心を漂わせていて深く心に刻まれます。17歳でこんなに深い音楽を作ってしまうなんて……。
改めてモーツァルトの凄さを感じてしまいます。

最後の有名な「アレルヤ」ですが、アレルヤ!と連呼するたびに無限に変化する愛らしい表情や天国的な美しさ、そして湧き上がる無限の喜びの想い…。これはモーツァルトでしか作れない天性の音楽かもしれません。ソプラノ歌手たちがこぞって歌いたくなるのも分かるような気がします!



天衣無縫な愉しさを
表現する難しさ

この曲はオペラのように表情をつけると、天衣無縫な愉しさから遠ざかってしまうし、力を入れすぎたり、テクニックに比重が置かれると曲の本質からかけ離れてしまうという……、文字通り簡単なようでなかなか厄介な作品です。


バトルの表情はとてもすっきりしているのですが、その透明感のある歌声の中に多彩な音色の変化があり、心の動きが巧みに表現されています。 特に「アレルヤ」はまったく力んでいないのに、どこまでも伸びやかで澄み切った声と鋭敏な感性! これはモーツァルトの神髄を突いた唯一無二の表現と言っていいかもしれません。


特にボニーの伸びやかでヴィブラートを極力抑えた素直な歌声はモーツァルトにピッタリです。可憐で優しさに満ちた表情が至福の時を約束してくれることでしょう。 特に第2楽章はその優しさが音楽と一体となり、深い情感を醸し出す名唱となりました。