2017年9月28日木曜日

『シネマ・アンシャンテ』ジャック・ドゥミ+ミシェル・ルグラン デジタル・リマスター版特集上映!








歓びも哀しみも、すべてが夢のように美しい 
フレンチシネマ史上至高の映像と
音楽のコラボレーション4作品を一挙上映

ついにリバイバル上映が決定しました!

恵比寿ガーデンシネマを皮切りに上映される『ジャック・ドゥミ+ミシェル・ルグラン デジタル・リマスター版特集上映!』がそれです。これは『ロシュフォールの恋人たち』が公開50周年にあたることと、作曲のミシェル・ルグランが生誕85周年になるのを記念してデジタル・リマスター版で装いも新たに公開されるそうですね。今回は東京、横浜、名古屋、大阪、京都と全国5か所で公開されます。

ジャック・ドゥミとミシェル・ルグランといえば、映像と音楽のコラボが最高に美しく、夢のようなひとときを約束してくれる名コンビでした。今回のシリーズでは絶頂期の作品をはじめ、魅惑の作品が組まれています。

まずはシリーズの顔になっている1965年の『ロシュフォールの恋人たち』。サントラ盤に収められたほとんどすべてのナンバーがスタンダードナンバーといってもいいほどに愉しく充実した名曲揃い! しかもカトリーヌ・ドヌーブとフランソワーズ・ドルレアックの実の姉妹やジーン・ケリー、ジョージ・チャキリス等の多彩な顔ぶれが歌って踊る楽しいミュージカルになっています。

その他、息をのむほどに美しい映像と音楽との豊かな共鳴が忘れがたい余韻を残す『シェルブールの雨傘』。幻想の世界を彷徨うような大人のファンタジー『ロバと王女』、池田理代子の大ヒット漫画を実写化し、公開当時は酷評されたものの、今やその良さが再認識されつつある『ベルサイユのばら』(今回初デジタル・リマスター化)もラインナップされています。

秋の夜長、じっくりとフランスシネマの傑作に浸る至福を味わいたいものです。



2017年9月24日日曜日

フラゴナール 読書する娘











抜群の構図と
目の覚めるような
美しい色彩

「印象に残る人物画は何ですか?」と尋ねられたら、この絵を思い出されるかたは少なくないでしょう。

知らない人はいないのでは?……と思えるほど、『読書する娘』は絵柄としても有名ですし、説明は不要なくらいにありとあらゆる媒体や印刷物に使われていることは皆さん承知の事実です。もはや本を読む人の永遠のイメージ像として定着してしまったような感じさえありますね。

時に絵の善し悪しは構図と配色で決まってしまうともいわれますが、この絵は構図が抜群です!しかも配色が目も覚めるほどに美しい!

特に全体を大きく三角形で結ぶ構図が読書にふける女性の静謐で穏やかな雰囲気を決定づけています。それだけではなく、頭から腰にかけて連なるいくつかの三角形の構図が女性らしさや気品を印象づける重要な働きをしているのです。

女性を上手に描く人は世の中にたくさんいるかもしれません。けれどもフラゴナールのように女性の魅力を存分に引き出して、甘美な夢を見させてくれる人は少ないことでしょう……。

横向きにもかかわらず、フラゴナールの女性像はまるで目の前に座っているかのように情感豊かで生き生きとしたメッセージを伝えるのです。

本当に伝えたいメッセージを表現する上で、ロココ時代の絵によく見られる過度な装飾や演出は逆効果になることをフラゴナール自身もよく理解していたのでしょう。

細部のこだわりを捨てたダイナミックで素早いタッチの描写がデリケートでセンス満点な彩色とあいまって、最高に魅力的な女性像を作り上げているのです。