心地よいリズムを生み出す形と鮮やかでエネルギッシュな色彩
これはマティスの比較的初期の作品ですが、マティスの絵画の方向性を決定づけた重要な作品でもあります。
マティスの構図の素晴らしさは相変わらずですね! テーブルの果物と要所要所に配置された唐草模様は破綻をきたすことなく、無理なく一つの絵画洋式として溶け込んでいることに驚かされます! また、人物や屋外に見える木々も柔らかなカーブを描き、リズミカルな調和を伴いながら大事な絵の要素として同化していることがわかります。
全体を見渡すと無駄な要素は何も無いくらいに徹底的に形を吟味し、シンプルさを追求していることが伝わってきますね。 画面の中で形は心地よいリズムを生みだし、色彩は鮮やかでエネルギッシュな色彩のハーモニーを醸し出しているのです!
それにしても、全体の3分の2を占めようかという赤ですが、少しも嫌らしさを感じませんね……。 この赤をより魅力的に見せているのは、色彩の強さばかりではなく、同系色のオレンジや青紫系の模様や補色のモスグリーンが織りなすコントラストと絶妙のバランスによる絡みが大きいのでしょう。