人情とユーモア、映像で昭和の空気を巧みに描き出す
この作品を観て「失敗だった…」と思う方はまずいないのではないでしょうか。それくらい誰もが気軽に親しめる娯楽性があるし、昔のアルバムを紐解いて古き良き時代を回想し懐かしむような特別な雰囲気があるんですね!ストーリーも非常にわかりやすく、消化不良な感じもほとんどありません!帰る時にはあったかな気持ちで映画館を後にできるのが何よりいいと思います。
前2作のようにミニチュアを使った撮影やCGを巧みに駆使して古き良き昭和の時代を再現しているのですが、当時の空気感や詩的なイメージもよく出ており、この時代に青春時代を送ったという人にはたまらない作品でしょう!1964年は東京オリンピックの開催や新幹線が開通した年で、いわば高度経済成長のピークともいうべき年でした。希望と夢にあふれていた時代でもあったことが伝わってくるようですね…。
前作から茶川(吉岡秀隆)と淳之介(須賀健太)の関係がこの映画の大きな柱になっているように思いますが、今回も雑誌の連載小説をめぐって様々な問題が勃発します。他にも様々なエピソードがおさまりがいいところに落ち着いて、あまりにも話が出来すぎでは…と思うこともありますが…。でもこの映画なら許せそうです。
今回からは3D版の上映もされました。それでどんな感じに見えるのだろうかと思って3Dにしたのですが、結果としては別に無理して3Dを観なくても良かったかなという感じでしたね。個人的には3Dメガネは圧迫感があって、最後まで装着するのがとてもつらい…。ただ、オープニングで東京タワーがクローズアップされ、タワーのてっぺんまでグングン上がってタイトルが現れるあたりは3Dの醍醐味充分という感じでした。
ストーリーの展開からすると、どうやら次作もありそうですね…。時代としてはやはり70年の大阪万博あたりまで進んでしまうのかもしれません。