ドラクロワと言えば、19世紀ロマン派を代表する画家であり、動きのあるドラマティックな絵、歴史画を描く画家として有名です。
彼は自画像、肖像画でも多くの傑作を残していますが、ここでご紹介するショパンの肖像は最も有名で優れた作品のひとつでしょう。
ショパンの繊細で、ドラマティックな音楽と既成概念を打ち破る革新的な芸術はドラクロワの個性ときっとよく似た何かがあったに違いありません。そのことがドラクロワの心にメラメラと創作欲を沸き立たせたのでしょう!作品そのものは未完成ということですが、絵としての存在感や生き生きとした筆致は圧倒的です!
一見気難しくデリケートに見えるショパンの表情の奥には優しさと気高さを両立させた顔立ちが覗いてみえます!それにしても何という凄い気迫と情熱が伝わってくる絵でしょうか⁉
この絵はもはや静止した肖像画ではありません。ドラマティックな表現が否応なく、ショパンの激しく感情豊かな個性をはっきりと浮き彫りにしているようにみえます!
「フレデリック・ショパンの肖像」はクラシック関連の本の作曲家プロフィール紹介で使われたり、ショパンの伝記で使われたり、その露出の度合いが他の写真や肖像画に比べると圧倒的に多いのは間違いありません。
メッセージ性に富んだこの表情、雰囲気、ただならぬ気配を感じさせるこの絵を見ると、他はどうしても弱く見えてしまうのは仕方がないことなのでしょう…。