2013年7月20日土曜日

特別展「深海ー挑戦の歩みと驚異の生きものたちー」



驚異の生きものたちが集う神秘の世界



Fish Greeneyes Deep Sea Fish Chlorophthalmidae



 国立科学博物館で特別展「深海ー挑戦の歩みと驚異の生きものたちー」が開催されています。深海と言えばアンコウのようにちょっとグロテスクで得体の知れない魚がウヨウヨ泳いでいるところというイメージが強いですよね。想像を絶する生物が生息しているのではないかという怖いもの見たさと未知の世界ゆえの妄想が広がるのも深海の特徴だと思います。
 ところで、この「深海」展は有人潜水調査船「しんかい6500」の実物大模型や全長5メートルを超すダイオウイカの標本が展示される等、話題にも事欠きません。暑い夏はこの想像を絶する神秘の世界にどっぷりと浸るのもかなりいい気分転換になるかもしれません!

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 深海は、宇宙とともに、「人類に残されたフロンティア」と言われています。宇宙よりもはるかに私たちの近くに広がっているものの、ヒトがそのまま潜っていけないため、多くの謎に満ちた世界です。暗黒・高圧・低温の深海へ、ヒトは様々な調査機器や潜水艇を開発して挑んできました。そして様々な驚異の生きものたちに出会ってきました。本展は、その挑戦の歩みと驚異の生きものたちを最新の研究結果をもとに紹介します。
 深海の実態が少しずつ明らかになってきたのは、潜水技術が進歩し、ヒトがより深く海に潜れるようになった最近のことです。私たちは、ダイオウイカなど巨大な生物の生態、木を食べて糖分に分解する驚くべき深海エビ、深さ1万メートルを超える海底に多様な生物がいることを明らかにしてきました。海底から湧きだす化学物質を成長の糧とする微生物から始まる食物連鎖など、陸上では見られない生態系も見つけました。
 地球上で最も広い深海にくらす生きものたちを知って、初めて、地球の生物全体を理解できると言えるでしょう。豊富な資源が眠る深海を、環境への負担を抑え、どう開発するかなど、課題も残されています。本展が、多くの方に深海への理解を深めて頂く機会となれば幸いです。
この夏、国立科学博物館で驚異の生きものが集う神秘の深海に潜ってみてはいかがでしょう。(公式サイトより)




開催概要

開催期間     2013年7月6日(土) ~ 10月6日(日)
開館時間     午前9時~午後5時(金曜日は午後8時まで)
       ※入館は各閉館時刻の30分前まで
       ※夏休み特別開館延長
       8月10日(土)~18日(日)午前9時~午後6時 
       ただし、8月16日(金)は午後8時まで
       (入館は各閉館時刻の30分前まで)
休館日        9月2日(月)、9日(月)、17日(火)、24日(火)、30日(月)
主催      国立科学博物館、海洋研究開発機構、読売新聞社、
       NHK、NHKプロモーション
後援      文部科学省、公益社団法人日本動物園水族館協会
協賛      みずほ銀行、光村印刷
機材協力      KOI  
公式サイト     http://deep-sea.jp/
お問合せ      03-5777-8600 (ハローダイヤル)
入場料    一般・大学生  1,500円(1,300円)
       小・中・高校生 600円(500円)
       ※( )内は前売及び各20名様以上の団体料金



2013年7月17日水曜日

チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調作品64









メロディメーカーの本領を発揮した交響曲

 チャイコフスキーは不世出のメロディメーカーとして、管弦楽曲、バレエ組曲だけでなく、交響曲においても甘美なメロディを駆使した作曲家として有名です。
 チャイコフスキーの交響曲と言えば真っ先に思い浮かぶのが第6番の「悲愴」です。とにかく第1楽章から第4楽章まで隙がなく、曲はフィナーレに向かって深い哀しみに沈んでいくのですが、スコアが細部に至るまでよく書かれているため不自然さを微塵も感じません。作曲家自身が最晩年に到達した円熟味と芸格の高さを表している傑作中の傑作と言われる所以でしょう。
 それに比べると第4番は若干の物足りなさがないわけでもありません。第1楽章の慟哭に満ちた響きや格調高い展開が素晴らしく、第2楽章は民謡調の哀愁を帯びたメロディが美しく印象に残ります。しかしそれを受ける第3、第4楽章がいただけません……。あまりにもあっさりしていて2楽章を無理矢理くっつけたようでどうにも満足できないのですね!?

 そして第5番です。この作品はもしかしたら聴きやすさにおいては「悲愴」より上かもしれません。美しいメロディも随所にあり、その点ではチャイコフスキーの本領発揮と言いたいところですが、作品として今一つ結晶化されていない印象を受けます。実際、意外と心に残らないのですね……残念ながら。そのような状況からして、5番はチャイコフスキーの三大交響曲の中では聴きやすく飽きやすい作品(?)と言っていいかもしれません。
 しかし、そうは言ってもベートーヴェンの交響曲やモーツァルトの後期交響曲、ブルックナーの5番以降の交響曲、ショスタコーヴィチの交響曲あたりと比べなければ充分に管弦楽の響きの素晴らしさやメロディの美しさを堪能できる名曲だと思います。
 特に第1楽章で鳴り響く運命のリズムとそれを払いのけるようなメロディは様々な感情を表出しており見事です!第2楽章のホルンが奏でる優しく美しい第1主題。第3楽章の愛らしく可憐なワルツ。そして手が混んでいて壮麗な第4楽章フィナーレ!こうしてみると交響曲の王道を行く傑作と言っても決して過言ではないと思います!


チェリビダッケの新鮮な名演!

この曲のベストとしてお勧めしたいCDはチェリビダッケ指揮ミュンヘンフィルによる録音(EMI)です。1991年のライブ録音ですが、音は素晴らしいしチャイコフスキーが書いたスコアの意味をとことんまで追求した演奏です!とにかく、ゆったりとしたテンポから紡ぎ出される重厚な音の響きと細部まで目に見えるほど彫琢されたハーモニーは素晴らしいの一言です!時としてブルックナーを感じさせたりするのですが、それも決して嫌味にならず、逆にこの曲を構成していく上で大きなプラスに作用しているのです。
  特に第2楽章のホルンの瞑想のような深い響きや第4楽章のスケール雄大な造型と壮大なクライマックスを築き上げていく腰の座った表現は最高です。

 悲愴と第4で圧倒的な名演奏を成し遂げているムラヴィンスキーですが、この曲に関しても真っ向勝負のダイナミックな演奏で攻めています。第1楽章の展開部や第2楽章の序奏で聴かれる詩情はやはり素晴らしく、他の指揮者では聴けない表現でしょう! ただ第4楽章あたりはムラヴィンスキーをもってしても、音楽を持て余しぎみという感じがしないでもありません。