2013年4月5日金曜日

アーウィン・ブルーメンフェルド 美の秘密









  かつてアメリカの女性ファッション誌「ヴォーグ」の表紙写真やファッション・ポートレート等で全盛時代を築き、その後も多くの写真家に影響を与え続けたブルーメンフェルドの個展が東京都写真美術館で開催されています。
  今回展示している作品(特にファッション写真)はカラー写真の色あいが経年劣化しているということらしいのですが、復元加工されたらしくまったく気になりませんでした。むしろ当たり前のことかもしれませんが、構図のとりかたが秀逸で静寂の中にも動きがあり、古さをまったく感じさせません。色彩も華美にならないかわりに、ときおりハットするような美しいアクセントが置かれているのです。とにかくシンプルであり、エレガントなのです。
  ダダイズムの表現を取り入れた前衛的な手法を撮影の基本に置いた彼ですが、そのような時代を先取りした感覚がハイセンスなイメージをモットーとするファッション誌の表現にはよくマッチしていたのかもしれませんね……。
  ヴォーグの表紙は1950年代前半ぐらいからの表紙イメージが展示されているのですが、正直言って現代のものよりもずっと洒落ていて魅力を感じます。皆さんはいかがでしょうか?

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アーウィン・ブルーメンフェルド美の秘密

会 期  2013年3月5日 ( 火 ) ~ 5月6日 ( 月・祝 )
休館日  毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
            ※4月30日(火)は臨時開館
料 金  一般 800(640)円/学生 700(560)円/
            中高生・65歳以上 600(480)円

           ( )は20名以上団体および東京都写真美術館友の会、当館の映画鑑賞券ご提示者、
            上記カード会員割引(トワイライトカードは除く)/ 小学生以下および
     障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料/第3水曜日は65歳以上無料


『ハーパース・バザー』や『ヴォーグ』等のファッション誌を中心に、第一次、第二次世界大戦を挟んで活躍した、アーウィン・ブルーメンフェルド(1897-1969年、独→米)の国内初の個展を開催します。欧米ではファッション・ポートレイト全盛期の旗手としてポンピドゥー美術館(パリ、1981年)、バービカンセンター(ロンドン、1996年)の個展などで高い評価を得ているブルーメンフェルドですが、重要な作品が各国の美術館に散在していることから、これまで日本国内で全貌をご紹介する機会がありませんでした。今回、ブルーメンフェルドのご遺族、関係者によって、1930年代のヴィンテージ・プリントや作家自身が選出した名作100点、カラー復元された美しいファッション写真などが集められました。本展覧会はパリのジュ・ドゥ・ポーム美術館に先んじて、それらの資料から独自の視点で構成した約290点(資料含む)の作品群をご紹介する貴重な機会です。シュルレアリスムからヌード、ファッションまで網羅し、多くの写真家に影響を与えたブルーメンフェルドの表現ですが、その陰には二大戦に翻弄され、時代に応じて活動の場を選択せざるを得なかった作家の苦悩が存在します。作家の活動を通し、時代背景、思想などに視点を向けると、美しい表現の根底にある精神が見えてくるのです。華やかな作品に隠された美の秘密をぜひ探してみてください。(公式サイトより)



2013年4月1日月曜日

ベートーヴェン 交響曲第2番ニ長調作品36






 ベートーヴェンの交響曲といえば大抵の方は俗に「運命」と呼ばれる第五や第六の「田園」、第九あたりを思い浮かべることと思います! 哲学的な第五、人類愛的な第六、宇宙的、形而上学的な第九……、前記の作品が名曲中の名曲であることはもはや議論の余地がありません。
 これらの作品に共通しているのは音楽の常識を塗り替えた自由な主題の展開や崇高な精神性が息づいていることでしょう。つまりベートーヴェンの個性があらゆる面で全開しているということなのです!

 今回取りあげる2番はベートーヴェンが失意のどん底から立ち直り、新しい1歩を踏み出した記念すべき作品です。前作の第1番とは比べものにならないくらいベートーヴェンの意思が浸透し、熱いハートと躍動感を持った魅力作なのです。もちろん、ベートーヴェンらしいなだれこむような迫力や燃え上がる情熱も充分です。

 特に第1楽章のハイテンポで刻まれるリズムは大変印象的ですね。曲は次第に雄大な曲想に発展していきます。展開部での地の底から雄叫びをあげるような管楽器、弦楽器の合奏がとても勇壮で胸をすきます。2番は「英雄」、「運命」とは違い小型の作品ですが、引き締まったダイナミズムが素晴らしいですね!しかも古典的な格調も備えているのです! 

 第2楽章の懐かしく愛に満ちた主題も非常に魅力的ですし、第3楽章に初めて導入されたスケルツォの存在感と雄弁さも大変印象的です。そして第4楽章はスフォルツァンドのリズムが大変個性的ですね。このスフォルツァンドを基調として真実味にあふれた様々な感情を吐露しつつ力強いフィナーレを迎えるのです。

 CDは今なお、ブルーノ・ワルターがコロンビア交響楽団を指揮したステレオ録音(CBS)が最高の名盤です。特に第2楽章はこれ以上不可能なくらい叙情的に愛の主題を歌い抜いています!ベートーヴェンが託した想いはこのワルターの演奏を聴かずしては始まらないともいえるのではないでしょうか。もちろん他の楽章も素晴らしく最高の気迫と有機的な音の響きが一貫しており、この作品の素晴らしさを改めて伝えてくれるのです!