開けましておめでとうございます。
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絵を見る楽しさや驚き、発見を
無尽蔵に与えてくれる画家
ブリューゲルの絵は現存する作品の数が少なく、展覧会を開催すること自体が困難だとよく言われています。
しかし、残された絵の充実度は格別で、絵を見る楽しさや驚き、発見を無尽蔵に与えてくれる画家の一人ではないでしょうか!
絵が私たちの心に眠っているイマジネーションや好奇心を呼び起こすものであるとするならば、ブリューゲルこそはそれに最もふさわしい画家だといえるでしょう。
さて、「バベルの塔」はスケールの大きいテーマを扱っていますが、原寸は意外にも小さい絵です。しかし、ここに込められている絵画的な魅力は尽きることがありません。
豆粒のような大きさの人間に対して、空に届くような勢いで建設が進む塔の威容! この両極端なシチュエーションはとてつもない驚きと不思議な感覚を見る者に与えるのです!ここでは両極端な要素を緻密に配置することにより、一層の効果をあげてますね。なんとも心憎い演出です……。
その演出の見事さは知らず知らずのうちに追体験のごとく絵の中に身を置いている自分自身を発見することで気づかされるのです。
対照的なテーマは見るものを興奮のるつぼに引き込まずにはおかないでしょう。
丹念に描かれた
ディテールの見事さ
そして忘れてはならないのが、丹念に描かれたディテールの見事さでしょう!
特に豆粒のように点在する人間たちの様々な生態を描いたドラマの部分にはほとほと驚かされます。ブリューゲルはこういった些細なところも一切手を抜くことがありませんね。それによって驚くようなリアリティとドラマが生まれるのです。
また情報量の尋常でない多さにも驚かされます。塔を建設するにあたってそこに払われたであろう血や涙、苦闘といったものがこの一枚の絵から脈々と伝わってくるではありませんか……。 背景の澄み切った空や遠くに見える港に停泊する物々しい船舶の雰囲気も塔の威容と存在感を更に引き立てているのです。
2017年4月に東京都美術館で『ボイマンス美術館所蔵ブリューゲル「バベルの塔」展』と題して、このバベルの塔が24年ぶりに日本で公開されることとなりました。これは絶対に見逃せない展覧会となることでしょう…。