この絵、とにかく凄い絵だという噂は前から聞いておりました!
何が凄いのかというとまず最初に挙げられるのが桁違いの大きさでしょう!横が約9メートル30センチで縦が約6メートル30センチもあるというのですから、一体人間何人分に相当するのでしょうか…!?。一度目の当たりにすれば誰もがその壮大なスケールに圧倒されるといいます。この絵があるパリのルーブル美術館の中でも屈指の巨大な絵なのです。
二番目としてはフランスの運命を変えた「ナポレオンの戴冠式」という歴史的な瞬間を描いた絵であることです。もちろん当時は写真などありませんから、歴史の重大な史実を記録するにはダヴィッドのような力量のある画家がとても重宝されたのでしょう。これだけでも、この絵は充分に価値があるといっていいでしょう。
ナポレオンの生涯を辿るテレビのドキュメンタリー放送では必ずといっていいほどこの絵が出てきます。いわばナポレオンといえば“これ”というくらいの定番なのです!
ただ本来であれば皇帝の戴冠式なのですからローマ教皇からナポレオンに冠が授けられるはずなのです……。しかしよく見ると、あれれ?戴冠しているのはローマ教皇ではなくナポレオンではないですか!? しかも冠を授けようとしているのは何と妻のジョセフィーヌなんですね……。つまりナポレオンはいかに皇帝としての権威が絶対的であって、それに対してはローマ教皇も口を出せないということを絵で演出したかったのでしょう。(ダヴィッドはナポレオンのお抱えの画家だったそうです)
さまざまなエピソードに彩られたこの絵ですが、純粋に絵として鑑賞してももちろん素晴らしいです。たとえば宮殿に整然と並んだ人々の姿を浮かび上がらせる厳かな光と影のコントラストは大変美しいですし、得も言えぬ威厳と気品が伝わってきます。まさにこの一大イベントを最高にドラマチックに演出した作品であり、ナポレオン自身もこの絵には最大限の賛辞を惜しまなかったといいます……。