「ロシア音楽」のルーツを辿る旅
チャイコフスキー、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、ムソルグスキー、リムスキー・コルサコフ、ラフマニノフ、ストラヴィンスキー…とさまざまな個性的な作曲家を輩出してきたロシア音楽の歴史と真髄を探る上で絶好の機会になるのかもしれません!乞うご期待‼
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ノスタルジーと美に満ちたロシア音楽の世界へ
ルネ・マルタン(René Martin)
今年で8回目を迎える「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」。今回は、深みのある人間の生と「宿命性」を感じさせ、聴き手の心を震わせるメロディが印象的な、ロシア音楽の旅へご案内いたしましょう。
この旅は、1804年に誕生したグリンカからスタートします。ウィーンでベートーヴェンが活動していた時代であり、音楽の歴史が古典派からロマン派ヘと移行する時期でもありました。近代ロシア音楽は「父」と呼べるグリンカから、ムソルグスキーやボロディンらが集まって活動した「ロシア五人組」へと受け継がれ、首都サンクトペテルブルクを舞台として国民楽派の音楽が生まれます。中でもリムスキー=コルサコフは管弦楽法に精通し、ストラヴィンスキーをはじめとする多くの弟子を育てて、20世紀へと伝統をつなぎました。
その一方で「ロシア五人組」と同じ時代に、モスクワで活躍したのがチャイコフスキーです。ヨーロッパ音楽に近い作風で多くの美しい作品を書いたのは、皆さんもよくご存知でしょう。チャイコフスキーはたくさんの後輩も育てましたが、最後のロマン派の巨匠ラフマニノフもその一人です。彼はピアニストとしても一流の腕前をもっていましたから、素晴らしいピアノ協奏曲や数多くのピアノ作品を作曲しました。
20世紀になると、それまでロシアにおける政治の実権を握ってきた皇帝や貴族たちへの反感が強まり、1917年に革命が起こってソヴィエトという新社会主義国家が誕生します。こうした混乱期に新しい才能として登場したのが、ストラヴィンスキーやプロコフィエフといった作曲家でした。またソヴィエト時代を代表する作曲家となったショスタコーヴィチも、「サクル・リュス(ロシア音楽の祭典)」では忘れるわけにいきません。そして彼らが守ったロシア的な精神は、20世紀後半のシュニトケやグバイドゥーリナといった作曲家にも受け継がれているのです。プーシキン、トルストイ、ドストエフスキーなどが文学で表現してきた人間の「宿命性」というテーマは、常にロシア音楽にも流れているのです。
このように、およそ2世紀という期間の中、多くの作曲家たちが登場してロシア音楽を世界的な存在にまで高めました。皆さんにはぜひ、ノスタルジーと美に満ちたロシアの音楽に耳を傾け、心を熱くしていただきたいと思っています。(公式サイトより)
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