2010年6月18日金曜日

ラフマニノフ 交響曲第2番ホ短調作品27




 ラフマニノフはメロディーメーカーとしてクラシックの作曲家の中では特別な存在と言えると思います。特に彼の代表作ピアノ協奏曲2番の旋律の美しさは格別で、旋律の美しさゆえにこの曲を愛するという方もきっと多いのではないでしょうか。


 その美しさも、甘く切なく、やるせない想いが描かれることが多いのです。いい意味で聴く人の心をかき乱すのです。ムード音楽のようで格調がないとか、底が浅いとか非難されることがありますが、でもこの甘く切ないムードをとってしまったら、ラフマニノフではなくなるでしょう。

 この独特のムードにロシアの広大な大地を思わせる郷愁が絡んだら…。きっと鬼に金棒でしょう。それを実現した曲が自身の交響曲第2番なのです。特に第3楽章アダージョはムード満点で、ロシアの広大な情景が眼の前に現れたかのような美しさです。この楽章は、漂うようなメロディーが郷愁を伴い、夢のような陶酔の時間を与えてくれるのです。その他の楽章も郷愁を伴う美しいメロディーが満載で、耳と心に最高の満足感をもたらしてくれます。

 この曲は、クルト・ザンデルリンクとフィルハーモニア管弦楽団が最高に美しい演奏を残しています。前述のアダージョも騒がず、華美にならず、情緒満点に息の長いフレーズを描き出しています。他の楽章も特別な演奏効果は狙っていないのですが、じんわりと心に響く深く豊かな響きを奏でています。





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