2010年3月9日火曜日

レハール オペレッタ「メリー・ウィドウ」



 メリー・ウィドウは本当に楽しい作品です。何度聴いても楽しくさわやかな気分にさせられます。作曲家のフランツ・レハールはワルツの人で、誰もが一度は耳にしたであろう名旋律の「金と銀」の作曲で馴染み深い人です。

 この作品でも有名な「メリーウィドウのワルツ」を始めとして胸がぐっとくるような珠玉のナンバーがずらりと並び、その魅力の虜になってしまいます。やはり、メロディメーカーとしてのレハールの力量は並大抵ではありませんでした。

 この作品はオペラではなくオペ レッタという喜歌劇に属するそうですが、ジャンル分けはこの際大した問題にはならないでしょう。歌はブロードウェイのミュージカルのように雰囲気抜群ですし、立ち居振る舞い等は演劇の舞台のように動きがあり、味わいがあります。

 ストーリーはいわゆるドタバタですが、笑いあり涙ありの生き生きした人情ドラマが展開されていきます。夢とロマンの香りを引き立たせるチターやマンドリンやヴァイオリンの響き。それは郷愁を誘い、春のうららかな夢のような懐かしい響きとなります。この全編に溢れる人なつっこくて、愛らしく麗しい情緒は聞くものを 捉えて離しません。そっと心の片隅にしまって置きたくなる宝物のような作品だと思います。

 CDで素晴らしいのはマタチッチがフィルハーモニア管弦楽団を振った1962年録音のEMI盤です。芸術性、エンターテイメント性において申し分なく、ちょっとした フレーズにも驚くほどの気品や情感が漂っています。シュワルツコップのハンナやヴェヒターのダニロも情感満点で思わず陶酔させられます。弦や楽器の響きも古き良き時代を偲ばせる豊麗な魅力に満ち溢れています。 

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