映像と音楽は最高
「男と女」
先日、恵比寿ガーデンシネマに往年の名画『男と女』(クロード・ルルーシュ監督、1966年フランス)、そして幻の短編映画『ランデブー』の二本立て(1本の映画料金なのですが?)を見に行ってきました。
フランシス・レイ作曲のボサノヴァ調のテーマ音楽“”ダバダバダ♪“”は今や映画音楽のスタンダードナンバーとして知らない人がいないくらい有名ですね。
映画はデジタルリマスターされていて、ほぼ50年前の映画とは思えないくらいにリフレッシュして美しく鮮明な映像に仕上がっています。
まず感心するのがオープニングの美しさ……。これはドーヴィルの港を広角レンズで撮影したのでしょうか、ほどよいパースペクティブが心地よい奥行きを生みだしています。
その後も海辺のシーンがたびたび出てきたり、野原を馬に乗って走るシーンが出てきたり、ヨットで海に出るシーンが出てきたりするのですが、とにかくカメラワークが自然でセンス満点です!
その後も海辺のシーンがたびたび出てきたり、野原を馬に乗って走るシーンが出てきたり、ヨットで海に出るシーンが出てきたりするのですが、とにかくカメラワークが自然でセンス満点です!
また映画の中で現実のシーンがカラーで、回想のシーンがモノクロやセピアでというようにモンタージュ効果が多用されていますが、これもなかなか効果をあげています。
映像も音楽も雰囲気も最高で、加えて二人の主役アヌーク・エーメの凜とした美しさやジャン・ルイ・トランティニャンのダンディな佇まいも悪くないのですが、いかんせん肝心のストーリー展開や内容そのものにはもう一つ感情移入できませんでした……。
二人とも伴侶を事故で失っていて、寄宿舎に子供を預けているところも同じで、そんな二人が惹かれあっていく…という内容はドラマの設定としては大変面白いのですが、ただ、あまりにも人物の描き方が淡泊というか全体的にあっさりしすぎている気がするのです……。特にお互いの伴侶への慕わしい気持ち、共感や愛する人への特別な想いがあまり伝わってきませんし、描き切れていません。そのため最後の結末もかなり無理があるような気がしてならないのです……。
予想外!『ランデブー』の
迫力と面白さに降参!!
それでは収穫がなかったのか……?というと、いえいえ決してそうではありません。 実は『男と女』に入る前、申し訳なさ程度に公開された短編映画『ランデブー』(1976年フランス、未公開)の迫力と面白さにすっかり参ってしまったのです!
時間にしておよそ9分ぐらいでしょうか……、これはストーリーがあってないようなもので、フェラーリにカメラを取り付けて、パリの街を猛スピードで疾走するというだけの映画なのです。実はこの映画も監督はクロード・ルルーシュなのです。二本立てという意味がようやくわかりました。
この映画、当時「危険すぎる!交通マナー違反だ!悪影響を与える!」云々の非難やら猛反発を受けて上映禁止となった幻の映画なのです。それはそうでしょう! 信号が変わろうが、歩行者が横断しようが、車が接近しようが、構わずアクセル全開で突っ走るというトンデモない映画なのですから……。見ている間中ヒヤヒヤ、どきどき、ワクワク?……がとまらない文字通りスリル満点の映画なのでした。
この映画にはシミュレーションゲームのような細工がありませんし、撮り直しや編集も一切ありません。つまりF1ドライバーがぶっつけ本番で一般道を疾走するというあまりにも命知らずの無茶苦茶な映画だったのです。
したがって、その迫力と興奮は並大抵のものではありません! これはもはや生きたドキュメンタリーと言えるでしょう。そのため、いつのまにか自分が車に乗っているような感覚にとらわれています。エンジン音が唸りを立てれば立てるほど、次にどうなるのか予測できない独特の緊張感や達成感が入り混じって、ますます目が離せない状況を創りあげていくのです!
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