遊び心が功を奏した
魅力作
これはわずか2分足らずのメヌエット風のピアノ曲です。
タイトルからしてハイドンに敬意を表して、古典的な曲調で書かれた曲と思われがちです。
でも実際はそうではなく、ハイドン没後100年を記念して、パリの音楽雑誌が当時のフランスの大作曲家たちに作曲依頼した企画だったのでした。その内容というのはHAYDNの5文字を音にあてはめて主題を作るという、いわばロジカル的と言うかパズル的な発想の企画だったのです。
そのような企画ですから、比較的に遊び心のある作曲家は好意的に受け入れたようですが、そうでない作曲家は「もってのほか!」という感じでまったく相手にしなかったらしいですね……。
ラヴェルは遊び心のある人ですから、当然のようにこの企画に乗って美しい作品を残してくれました! 出来上がった音楽は雰囲気があって機知に富んだラヴェルらしいセンスが光る作品といっていいでしょう! 光と心地よい空気が漂う中を夢と現実の世界を行き交うような……、とてもファンタジックな作品だと思います。
演奏はサンソン・フランソワのピアノ(EMI)が聴く者を夢の世界に誘ってくれます。フランソワの演奏はただただ素晴らしいの一言に尽きます! 音の一つ一つに気持ちが浸透し、のびのびとしたフレージングや即興的な演奏が音楽を大きく息づかせているといえるでしょう。
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