2016年3月1日火曜日

メト・ライブ・ビューイング プッチーニ『トゥーランドット』を見て










優れた『トゥーランドット』の舞台!

 先日、メト・ライブビューイングの『トゥーランドット』を見に行ってきました。一言で言えば、素晴らしい舞台でした。オペラの原点に戻ったような感覚を味わうことができましたし、久しぶりに上質なエンターテイメントを堪能できた喜びでいっぱいです。特に絢爛豪華な舞台セットと演出には感動いたしました! やはりオペラはこうでなくてはならないですね……。観客に夢とロマンを与えてくれないと見る面白さが半減してしまうように思います!

 メトロポリタンオペラの『トゥーランドット』公演は30年来、ゼフィレッリの演出が続いているそうで、舞台のセットも大切に保管しながら上演されてきたようですね。それもわかるような気がします。それほどこの演出は他の追随を許さないくらい素晴らしく、好評だったのでしょう。


秀逸な演出と
美術セット

 時代考証を元にして、古代王朝時代の中国のイメージを実に美しく陰影のある舞台にしているし、とにかくディテールに至るまで手が込んでいる感じです。たとえば、2幕の宮廷シーンの荘厳で立体的な美術セットや細かなアプローチにはため息が出てしまいます。
 何より音楽と舞台とスートーリーが一体になって溶け込んでいるし、これなら観る者は無理なく『トゥーランドット』の物語を心に留められますね…。

 最近、新演出のオペラの舞台が流行しています。でも、どうか奇をてらった自己満足的な演出だけはご勘弁いただきたいものです……。結果的にはオペラと観客との距離を広げるだけかもしれませんので……。

 ソリストは充分魅力的な強力布陣です。
 中でもカラフ、リュー、トゥーランドットの主役3人の歌は一様に素晴らしく、聴きごたえが充分でした! 特にリュー役のアニータ・ハーティッグは細かな感情表現が心に響いたし、カラフ役のマルコ・ベルティの堂々とした歌唱力、トゥーランドット姫役のニーナ・ステンメの有無をも言わせぬ迫力と圧倒的な存在感も印象的でした。



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