絶妙な転調
美しい中間部
この曲をはじめて知ったのは、確かFM放送でオーケストラ版が流れていたのを聴いたときだったように思います。 そのときは何てロマンチックで懐かしい情感が香る曲なのだろうかと思いました。最初の有名なテーマは、現在CMや映画、テレビ番組のBGM等で頻繁に聴かれるようになりましたね。
何よりテーマが親しみやすく覚えやすいですし、ヴァイオリンやチェロ、ピアノで演奏するにしても弾きやすいのが最大の魅力ですね!おそらくこれからも多くの人が口ずさみ、愛される名曲として受け継がれていくことでしょう。
愛の挨拶で私が一番惹かれるのは、中間部でやや憂いを帯びた主題が出てくるところです。 回想のシーンが蘇るように少しずつ調を変えながら展開される美しいメロディ……。時間の流れが止まったかのようにも思えるこの絶妙の味わいは『愛の挨拶』がただの小品ではないということを強く感じさせるのです。
こんなに可憐で美しい音楽を作った人が、あの行進曲『威風堂々』や『チェロ協奏曲』を作った人だとはちょっと信じられないような気もいたします。
グローブスの
しっとりとした演奏
この曲はさまざまな形で演奏されますが、私が聴いて一番しっくりくるのはチェロやピアノの独奏ではなくオーケストラ版ですね。なぜかと言えば、魅力的な中間部の美しい転調が最も味わい深くて余韻が残るのがオーケストラ版だからなのです。
チャールズ・グローブスがフィルハーモニア管弦楽団を指揮した演奏はゆったりとしたテンポとしっとりと愛情を込めた表情が美しく、この曲の決定版といってもいいかもしれません。
しかし残念なことにグローブス盤も現在は廃盤になっているようです。お聴きになるとしたら、とりあえず『ウェディング・クラシックス』とタイトルがついたウェディングに纏わるイメージの作品を集めたオムニバス盤しかないようですね。
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