2013年11月22日金曜日

「ねむの木の子守歌」







優しく美しい詩

「ねむの木の子守歌」
(美智子皇后陛下作詞・山本正美作曲)

ねんねの ねむの木 眠りの木
そっとゆすった その枝に
遠い昔の 夜(よ)の調べ
ねんねの ねむの木 子守歌

薄紅の 花の咲く
ねむの木蔭で ふと聞いた
小さなささやき ねむの声
ねんね ねんねと 歌ってた

故里(ふるさと)の夜の ねむの木は
今日も歌って いるでしょか
あの日の夜の ささやきを
ねむの木 ねんねの木 子守歌



 この詩は美智子皇后様が高校時代に作られたということですが、それに山本正美さん(指揮者の故・山本直純さんの奥様で作曲家)が秋篠宮様がお生まれになった1966年に音楽をつけて話題になったのでした。歌詞を見ると情景がすーっと拡がっていくようでとても感動的です。リズミカルな美しい日本語の表現が心地よく、普通に読むだけでも心慰められますね。

 「ねむの木の子守歌」は歌詞と音楽が一つとなり、幸福なコラボレーションが成された良い例だと思います。それにしても何と優しく深い愛情に彩られた曲でしょうか。慎ましやかで女性らしい豊かな感性が光る詩と音楽だと思います。



ヘイリーの名唱

 最近この曲の素晴らしいCDが出ました。ヘイリーがシングル盤として2009年にリリースしたCDがそれです。「ねむの木の子守歌」のリリースは40数年ぶりということですが、おそらく今までのどの録音よりも素晴らしいのではないでしょうか。
 彼女の高音の澄んだ美しさは定評がありますが、驚いたのはその細やかな情感の表現です。むやみにヴィブラートをつけたり、技巧に走ったりせず、素直にさらりと歌う歌唱法がこの曲にピッタリなのです。自然な表情の変化…、言葉の端々に現れる安らぎを感じさせる声の響き、余韻……。音楽は途切れることなく乾いた地面に水がしみ込むように心を満たしていくのです。当然、少し片言の日本語なのですが、それさえも魅力に転じており、まったく嫌味がありません。ひとときの至福の時間を与えてくれる名唱だと思います。




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