イタリア・バロック音楽の巨匠といえば、すぐに思い浮かぶのがヴィヴァルディですが、ヴィヴァルディに先駆けること約20年前、数々の名品を生み出したのがアルカンジェロ・コレッリ(1653-1713)です!
コレッリはバッハやヘンデルでも有名なバロック音楽の合奏協奏曲の原形を作りあげた人と言っても過言ではありません。自身もヴァイオリンを演奏し、かなり高度なテクニックや表現法に精通していたため、ヴァイオリン曲の作曲や音色に関しては抜群の感性を発揮したのでしょう。
そのためコレッリの音楽には独特の高貴さがあり、特にヴァイオリンの美しい響きを導き出したり、複数の弦楽器の重なった主題を美しく響かせるテクニックは天下一品です。なだらかな曲調でメリハリに乏しかった初期のバロック音楽に、早いテンポで均整のとれた造型や立体的なフーガをいち早く導入したのもコレッリでした。
この合奏協奏曲もそれぞれの作品はわずか10分あまりの短い曲ばかりですが、大変インスピレーションにあふれています。その中に凝縮された輝き、優美、無垢な表情は聴く人を知らず知らずのうちに別世界に誘ってくれます。曲調も親しみやすく、ヘンデルの合奏協奏曲作品3あたりに似ており、それをより透明でシンプルな形にしたといったらわかりやすいかもしれませんね…。適度なウエット感や品格もあり、彼のヴァイオリンソナタ集と並ぶ代表作といって間違いないでしょう!
演奏はトレヴァー・ピノックがイングリッシュコンソートを指揮したアルヒーフ盤が最高に魅力にあふれています。ピノックの演奏は純粋、透明、豊潤を極め、コレッリの音楽の本質や良さがストレートに伝わってきます。この作品では特にヴァイオリンを始めとするオリジナル楽器の響きがクリスタルのような透明感を醸し出しており、極上のひとときを約束してくれるでしょう。
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