スクロヴァチェフスキの第九演奏会
Stanislaw Skrowaczewski (© Toshiyuki Urano) |
ベートーヴェン第九演奏会
昨年の12月22日、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキの指揮とNHK交響楽団によるベートーヴェンの第九演奏会に行ってきました。
実はスクロヴァチェフスキの指揮に接するのは今回が初めてで、はたしてどんな演奏を披露してくれるのだろうかと期待感で胸がワクワクし通しでした。
第1楽章は早めのテンポと快適な響きで始まりました。ツボをおさえた力感溢れる演奏が展開されるのですが、もっとティンパニが鳴り響いてほしいとかオーケストラの合奏部分に重量感がほしいとか思いながらも、「やっぱりこの神秘的な第1楽章を目一杯鳴り響かせるのは至難の技なのかな…」と思いつつ、あっという間に第一楽章は終わってしまったのでした。
しかし、第2楽章になるとその速めのテンポや快適な流れが水を得た魚のように生き生きとしてきます。随所に響くティンパニの響き、合奏部分も立体的でいよいよ意味深い響きを獲得していったのです!
第3楽章になるとますます充実した演奏が展開されていきました。この楽章のテーマは「傷ついた孤独な魂と回想」だと思うのですが、スクロヴァチェフスキの奏でる弦の響きは深く、哀愁に満ちた美しい音色を紡ぎ出し、この楽章を心ゆくまで堪能させてくれるのでした。
第4楽章は絶望から希望へと最も難しい感情の変化を表現しなければならないクライマックスの部分です。声楽も加わってくるため、複雑な要素が絡み合い指揮者の力量が試される音楽だと思います。しかし、スクロヴァチェフスキの場合は細部を磨き抜くよりは委細構わず正攻法で挑み、剛毅で雄大な響きを生み出しました!国立音楽大の合唱も素晴らしかったですね!単に合唱のパートとしてではなく、オーケストラの響き同様にエネルギッシュな森羅万象の響きとして響いていたところを評価したいと思います。独唱陣も力みすぎず、伸びやかな自然な発声を心がけていたのが印象的でした。年末にこのような素晴らしい第九にめぐりあえて本当によかったと思います。
こうしてコンサートが終わって思ったのは、数年前に公演されたスクロヴァチェフスキの「ミサ・ソレムニス」の演奏会のことでした。実際にこのコンサートを体験された方が異口同音に「良かった!」と言われているのを思い出し、今さらながらこの名曲の名演奏を聴き逃してしまったことが残念で仕方ないのでした。
こうしてコンサートが終わって思ったのは、数年前に公演されたスクロヴァチェフスキの「ミサ・ソレムニス」の演奏会のことでした。実際にこのコンサートを体験された方が異口同音に「良かった!」と言われているのを思い出し、今さらながらこの名曲の名演奏を聴き逃してしまったことが残念で仕方ないのでした。
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