ライブとは思えないジンマンのブラームス
Brahms Symphonies David Zinman |
ブラームスはロマン派最大の作曲家で、4曲の交響曲はいずれも名曲として親しまれてきました。
しかし、私はその中で交響曲第2番だけはどうしても進んで聴く気になれませんでした。それは第1楽章の田園的な情緒といわれるテーマや繰り返しがとても長く退屈に感じたからです。
しかし、不思議なものでそのような欠点(自分でそう思いこんでいるだけかもしれませんが)を補う名演奏に出会うと、今までアバタのように見えた箇所もエクボのように見えたりするものです。そして、この曲の隠れた魅力を再発見できたうれしさにさえ変わってくるのです!
もちろん、2番は間違いなく名曲です。力作の第1番と比べ、その違いに唖然とします。少しも力んでないし、大言壮語していないのに充実した響きと格調の高さが終始耳を引きつけます。晴れ渡った青空や自然の情緒を彷彿とさせる幸福感…!やはり聴けば聴くほどその味わいも確かに深まっていくのです。
ブラームスの2番全体を貫いている魅力はクラリネット、ファゴット、フルート、オーボエ等の木管楽器が瞑想や可憐なメロディを奏でることでしょう。またチェロの重厚な響きも深い森を想わせ、木管楽器との鮮やかな対比や拡がりを印象づけるのです。
特に第2楽章の癒しにも似た音楽は印象的です。晴れた日の午後のひととき…。丘の上に佇みながら、ぽっかりと浮かんだ雲の流れを見つめたり、心地良い風の流れに身を任せたり、小鳥のさえずりに微笑んだりと自然との対話が瞑想のように展開されます!
特に第2楽章の癒しにも似た音楽は印象的です。晴れた日の午後のひととき…。丘の上に佇みながら、ぽっかりと浮かんだ雲の流れを見つめたり、心地良い風の流れに身を任せたり、小鳥のさえずりに微笑んだりと自然との対話が瞑想のように展開されます!
第4楽章の舞曲風のテーマもパンチが効き、ワクワクするような胸の高まりとともに喜びを爆発させていきます!
第3楽章プレストは室内楽のようなこじんまりとしたテーマに潜む小粋な遊びがたまらなく愉しく、いつものブラームスとは違う魅力を発見するのです。
退屈だと言った第1楽章ですが、穏やかに流れる光や風、ぐんぐんと広がっていく自然の美しく優しい情緒はやはり大変な魅力です。
退屈だと言った第1楽章ですが、穏やかに流れる光や風、ぐんぐんと広がっていく自然の美しく優しい情緒はやはり大変な魅力です。
さて、その名演奏ですが、デイビット・ジンマンが手兵のチューリヒ・トーンハレ管弦楽団を指揮した2010年のライブ録音が本当に素晴らしいです。この演奏はライブではあるものの1番から4番までの全曲が収録されており、ブラームスの交響曲全集として一挙に発売されました!
正直なところ本当に驚きました。
何が驚いたかというと、その抜群の録音の良さです。しかも、この録音の鮮明さはライブということを忘れさせてくれます。いや、ライブだからこそ、こんなに自然なニュアンスの音の収録が可能だったのかもしれません。
弦楽器の柔らかくみずみずしい響き…。木管、金管楽器の透明感のある奥行きのある音。どれもこれも本当に良く録れており、まるでコンサートホールにいるかのような錯覚にとらわれます!
前述した第2楽章の木管楽器の魅力は録音の素晴らしさによって随所に生きており、ブラームスはこの曲を愉しんで書いたことを強く感じさせてくれるのです。第1楽章も透明感あふれる音楽作りが功を奏し、聴く者は何の違和感も無く音楽の心と結ばれていくに違いありません。
第3楽章の早めのテンポで一気に音楽を進めるセンスの良さと第4楽章の委細構わない大胆な造形と緊張感漲る表現も圧巻です!
第3楽章の早めのテンポで一気に音楽を進めるセンスの良さと第4楽章の委細構わない大胆な造形と緊張感漲る表現も圧巻です!
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