2010年9月19日日曜日

バッハ オーボエダモーレ協奏曲




ヴィンシャーマンの才気が光る名演奏


   この作品は、バッハの協奏曲の中でも特に親しみやすく、重苦しさや難解さとはまったく無縁です。それから、メロディもとっても覚えやすいですよね!オーボエダモーレがオーボエよりも渋く柔らかい音色を出せる楽器であることも親しみやすさを増している要因の一つかも知れません。

 ですから、この作品は聴く人にまるで笑顔を振りまくように愛嬌があり、親しみやすさを感じるのだと思います。有名なチェンバロ協奏曲4番の元になっているのもこの作品だと言われています。


  オーボエダモーレ協奏曲には、忘れられない演奏があります。それはヘルムート・ヴィンシャーマンがオーボエダモーレを吹き、ドイツバッハゾリステンを指揮した録音です。もう40年以上前の演奏ですが、この演奏の魅力は今も少しも失われてはいません。
   とにかくヴィンシャーマンのオーボエダモーレがセンス満点で、楽器の特徴を余すところ無く引き出しているのです。曲のツボを押さえた強弱や透明感を伴う高音の魅力!とろけるような柔らかい音色、懐かしくコクのある響き。そして、とことん曲を愉しんでいるゆとりや潔さがオーケストラにも波及してキラキラと輝きを放つような素晴らしい響きを生み出しているのです。


    とにかくこの演奏を聴いていると重苦しい、バロック的、宗教的浄福の境地とかバッハについて思い当たる気難しいイメージがすべて払拭されています。ここでは難しい表情をしたバッハではなく、子煩悩だった愛情深いバッハのイメージが彷彿とされてくるのです。
     残念ながらこの演奏は現在廃盤同然の扱いになっています。発売元のDENONから、廉価盤として登場しないかと期待しているのですが……。
 しかし、NAXOSミュージックライブラリーからダウンロード販売されていることを、先日ネット上で知りました。お聴きになりたい方はそちらのほうから購入されるほうが早道かもしれません。

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