平凡な時間の流れを
彩り豊かな時間に
変えてくれるアルバム
ビル・エヴァンスは20世紀後半のジャズシーンを彩る稀代の名ピアニストですが、「alone」は彼のピアニスティックな特徴が縦横無尽に発揮されたソロアルバムです。
デリカシー豊かで生き生きとしたピアノのタッチ、遊び心満点のアレンジと自然にほとばしる音楽の熱量、クラシカルな音楽要素をセンス満点に採り入れたバランス感覚……。誰に媚びるわけでもなく、心から音楽を愛し、楽しんで弾いている様子がひしひしと伝わってくるのです。おそらくこれはビルのベストパフォーマンスと言っていいのではないでしょうか……。
このアルバムはコアなジャズファンには何故か不評です。それは「真正なジャズらしくない」というのが理由なようです。でも、私は音楽的に大変優れたアルバムだと思いますね。
私はこのアルバムのノンジャンルとも言えそうなBGM的な親しみやすさと魅力は他のどんなジャンルのアルバムを持ってきたとしても敵わないし、追随を許さないものだと思うのです。
つまり、日常のどのようなシーンにも自然と馴染み、平凡な時間の流れを彩り豊かな時間に変えてくれる音楽としての魅力が光っているのです。
おそらく公園の木陰やカフェ、リビングルーム、博物館、寝室……、たとえどこで鳴っていようともここに収録された音楽は新たな発見と癒やしを与えてくれるに違いありません。
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