ブラームスの魅力が
ぎっしり詰まった傑作!
ブラームスは交響曲を全部で4曲作っていますが、どれも精神的、技法的に手が込んだ力作、傑作揃いですね。中でも第1番はベートーヴェンを意識した作品だけあって、完成までに約20年の歳月を要した超力作で傑作です!
重厚かつドラマチックな性格を持つ作品だけに有名な第1楽章の運命的な主題に思わず力が入り、第4楽章の勝利の凱歌に胸を熱くしたりしたものです。
でも私がこの作品を愛するのは中間の第2、第3楽章の存在が大きいですね。あまのじゃくでも何でもなく、とにかくブラームスの交響曲の中ではこの2つの楽章がたまらなく好きなんです……。特に第3楽章グラツィオーソの空を駆け抜けるように自由で颯爽としていて、なおかつ心地よい風が吹く雰囲気は最高ですね! とにかく変な力が入ってなくて、ブラームスとしては異例の流れの良さと音楽的な充実感が最高なんですね! さわやかでありながら包容力にあふれていて魅力は尽きません。
第2楽章もブラームスらしい陰影に満ちたテーマや叙情的な響きが満載です!他の楽章に比べると、随分と地味なイメージの強いこの楽章ですが、ブラームスらしい切なく美しい情感に満ちています。
最初にファゴットや弦楽器で半音階進行に伴う主題が奏でられると、不安や孤独、傷心の想いをひきずりつつ、ためらうかのようにゆっくりと音楽は進行していきます。その味わいは深く、次第に希望的な色彩を帯びながら憧れの心を奏でていくのです。
ミュンシュの永遠の名盤をはじめ、
タイプの異なる名演奏
シャルル・ミュンシュがパリ管弦楽団を指揮した1968年の録音(EMI)はほとばしるような情熱と気迫が刻み込まれたドラマチックな演奏ですが、やはりこの演奏は今でもブラームス1番の原点と言えるでしょう!
私がお気に入りの第2、第3楽章も非常に味わい深く、この演奏があれば他は要らないといってもいいくらいです。
しかし、もっと違ったタイプ演奏を選ぶとすればカルロ・マリア・ジュリーニが1981年にロサンゼルスフィルといれた演奏(グラモフォン)と1991年にチェリビダッケがミュンヘンフィルといれた演奏(EMI)を挙げたいと思います。
これからブラームスを聴こうという人にピッタリなのがジュリーニがロスフィルを指揮した録音です。どこもかしこもバランスが良く、歌にあふれ、叙情的かつ格調高い響きが最高に心地いいです。やはり第2、第3楽章が秀逸ですね。ミュンシュのような壮絶な響きこそありませんが、1番に願われる響きがある意味最も理想的な形で表現された演奏かもしれません……。
逆にチェリビダッケのCDはブラームスを聴きこんだ人にはきっと多くの示唆と感動を与えてくれることでしょう。呼吸が深く、テンポも非常にゆっくりのため抵抗を感じる人も多いでしょう。しかし曲の本質をピタリと捉えた造型や深い響きは何度聴いても飽きることがありません。第2楽章や第3楽章も相変わらずのスローテンポですが、それなのに音楽から伝わる情報量の多さといったらどうでしょう!
ライブですが、音質も良好で細部の表情の美しさや楽器の奥行きある響きを満喫できます。
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