ベートーヴェンの交響曲といえば大抵の方は俗に「運命」と呼ばれる第五や第六の「田園」、第九あたりを思い浮かべることと思います! 哲学的な第五、人類愛的な第六、宇宙的、形而上学的な第九……、前記の作品が名曲中の名曲であることはもはや議論の余地がありません。
これらの作品に共通しているのは音楽の常識を塗り替えた自由な主題の展開や崇高な精神性が息づいていることでしょう。つまりベートーヴェンの個性があらゆる面で全開しているということなのです!
今回取りあげる2番はベートーヴェンが失意のどん底から立ち直り、新しい1歩を踏み出した記念すべき作品です。前作の第1番とは比べものにならないくらいベートーヴェンの意思が浸透し、熱いハートと躍動感を持った魅力作なのです。もちろん、ベートーヴェンらしいなだれこむような迫力や燃え上がる情熱も充分です。
特に第1楽章のハイテンポで刻まれるリズムは大変印象的ですね。曲は次第に雄大な曲想に発展していきます。展開部での地の底から雄叫びをあげるような管楽器、弦楽器の合奏がとても勇壮で胸をすきます。2番は「英雄」、「運命」とは違い小型の作品ですが、引き締まったダイナミズムが素晴らしいですね!しかも古典的な格調も備えているのです!
第2楽章の懐かしく愛に満ちた主題も非常に魅力的ですし、第3楽章に初めて導入されたスケルツォの存在感と雄弁さも大変印象的です。そして第4楽章はスフォルツァンドのリズムが大変個性的ですね。このスフォルツァンドを基調として真実味にあふれた様々な感情を吐露しつつ力強いフィナーレを迎えるのです。
CDは今なお、ブルーノ・ワルターがコロンビア交響楽団を指揮したステレオ録音(CBS)が最高の名盤です。特に第2楽章はこれ以上不可能なくらい叙情的に愛の主題を歌い抜いています!ベートーヴェンが託した想いはこのワルターの演奏を聴かずしては始まらないともいえるのではないでしょうか。もちろん他の楽章も素晴らしく最高の気迫と有機的な音の響きが一貫しており、この作品の素晴らしさを改めて伝えてくれるのです!
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