印象派から抽象絵画への変容
フィンセント・ファン・ゴッホ《種まく人》 1888年 油彩/カンヴァス 64.2×80.3cm
クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands
クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands
六本木の国立新美術館で「印象派を超えて―点描の画家たち―ゴッホ、スーラからモンドリアンまで」を見てきましたが、なかなか興味深い展覧会でしたね。なぜ光と色彩にあふれた印象派の絵画からクールな抽象絵画の表現様式が誕生するようになったのか、その背景が垣間見られたような気がします。
中でも印象派の画家たちの色彩の明るさに触発され、自らの作品で技法として点描画を採り入れてみるものの、精神的にははるか彼方を見据えていたゴッホの情熱。また、スーラの分割主義に触発されたモンドリアンがその画風を模索するうちに生まれた絵の魅力。余分なものを排し、対比や連続的なリズムが織りなす緊張感や調和が美しい抽象絵画の見事さといったら……。
時代背景や影響力、画家のポリシーのようなものを再確認しながら観ると不思議なくらい一枚一枚の絵が心に刻み込まれるものですね……。大変面白い展覧会でした。
19世紀末から20世紀前半のヨーロッパ絵画において色彩は、外界の事物を再現するという役割から次第に解放され、ひとつの表現として自立していきます。色彩の独立は、印象派の筆触分割に、その萌芽を見出すことができます。新印象派の代表的な画家であるスーラは、印象派の感覚的な筆触分割には飽きたらず、科学的な知識をもとに独自の点描技法を開拓しました。色彩を純色の小さな点に分解して描く分割主義は、フランスを超えてヨーロッパ各地に瞬く間に広がります。そして、シニャックによる理論化にも後押しされて、抽象絵画の創設にも大きく貢献しました。オランダからパリに出たファン・ゴッホは、新印象派の技法に大きな着想を得て色彩を探求し、やはり点描を通過したモンドリアンは後年、三原色に分割された宇宙的な調和に満ちた抽象絵画へと到達したのです...国内の所蔵機関の協力も得て一堂に展示される、油彩画、水彩画、素描、約90点にも及ぶ珠玉の作品を通じ、絵画の真髄ともいえる色彩の輝きを新たな目で捉えなおします。[公式サイトより]
会場 国立新美術館 東京都港区六本木7-22-2
会期 2013年10月4日(金)~12月23日(月)
入場料 一般=1500(1300)円
大学生=1200(1000)円
高校生=800(600)円
*( )内は前売/20人以上の団体料金
*中学生以下は無料
*障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料
開館時間 10:00~18:00(金曜日は20時まで)
*入館は閉館の30分前まで
問い合わせ先 tel. 03-5777-8600(ハローダイヤル)
主催 国立新美術館、東京新聞、NHK、NHKプロモーション
公式サイト http://km2013.jp/
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