2012年11月26日月曜日

ベートーヴェン ピアノソナタ第8番ハ短調作品13「悲愴」







ベートーヴェンの交響曲は素晴らしいのだけれども、いざ聴こうと思うとかなりの心の準備や集中力が必要……と思ったことはありませんか? 確かにベートーヴェンの曲は傑作揃いなのは間違いないのですが、とっつきにくさでも1級品……。
 ピアノソナタの「月光」、「熱情」や田園交響曲、ヴァイオリン協奏曲のようにあまりにも有名で絶えず耳にする作品はいいのですが、それ以外の作品は音楽の美しさ以上に精神的な緊迫感が気になってしまいます。

 芸術的な完成度や圧倒的な昂揚感において秀逸なオペラ「フィデリオ」が不人気なのも、エンターテインメント性(サービス精神と言ってもいいかも…)に乏しいことが最大の原因ではないかと思ってしまうのです!?
 しかし、そんなベートーヴェンの作品にもポピュラーな音楽はもちろん存在します。その代表例がピアノソナタ「悲愴」ではないでしょうか!

 「悲愴」ソナタは全体の音楽の流れも良く、スムーズに純音楽的な美しさを実感し堪能できる数少ない作品なのです。特に第2楽章アダージョの美しさは格別で、これまで様々なジャンルの音楽にアレンジされたりしています。このアダージョは、おそらくベートーヴェンでしか表現できない崇高なロマンと人間的な優しさを持った永遠の名旋律といえるでしょう!

 この頃のベートーヴェンは、いい意味での古典的な格調を軸にした音楽スタイルを持っており、後年の疾風怒濤、気宇壮大的な作品にはない純粋な魅力がふんだんに詰まっているのです。そして随所にベートーヴェンの誠実さがにじみ出た愛すべき作品と言っていいでしょう。

 演奏はバックハウスのステレオ盤(DECCA)の演奏が深い味わいを伝える名演奏です。スケールが大きく、格調高いピアノの響きはこの曲の本質をくまなく引き出している感じです。何度聴いても飽きない、ベートーヴェンの音楽の魅力に極め尽くされた演奏と言っていいかもしれません!










0 件のコメント: